地域密着型ラグビー「リーグワン」が今年1月にスタートした。その発足に尽力した1人が、大阪芸術大学客員准教授で法学者の谷口真由美さん(47才)だ。父が強豪・近鉄ラグビー部で活躍した縁で、2019年6月から日本ラグビーフットボール協会の理事や新リーグ法人準備室長を務めた。しかし、リーグが開幕する直前の昨年6月に理事、準備室長を退任。いったい、彼女は協会内で何を見たのか──。舞台裏を著書『おっさんの掟「大阪のおばちゃん」が見た日本ラグビー協会「失敗の本質」』で明かしている。
そんな谷口さんが、本誌・女性セブン連載でおなじみの放送作家の山田美保子さんとともに“おっさん”の正体に迫る。【前後編の前編】
山田:昨年2月、東京オリンピック・パラリンピックの大会組織委員会会長だった森喜朗さん(84才)が、日本ラグビー協会を例に出しながら「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」と発言されたことは本当に衝撃的でした。ラグビー協会の改革に尽力されていたのに、「わきまえない女」として谷口さんのお名前が広まったことには、女性として、腸が煮えくり返ったことを覚えています。
〈女性蔑視発言の翌日、森氏は釈明会見で発言を撤回し、約1週間後、組織委員会会長を辞任。森氏が言う「女性」の1人が谷口さんだった。「わきまえない女」という言葉はツイッターなどで拡散され、一躍トレンドワードになった〉
谷口:森さんがラグビーW杯を日本に招致した立役者であることは事実ですし、ラグビー協会の若返りや女性登用を推進した人物でもあります。だからというわけではないですが、あの女性蔑視発言を蒸し返すつもりはありません。
それより問題なのは、その1か月ほど前から協会内で吹き荒れていた“谷口批判”を森さんに告げ口した周りの人たちです。「そんなふうに森さんに伝えたのは誰や!」「アンタか!?」みたいな感じで悲しくなりました。
もちろん、すべての男性がそんなふうに姑息なワケではありません。でも、組織のなかには「ムラの長には絶対服従」で、「自分より弱い立場や外から来た人間には高圧的」という人たちが一定数いる。私は組織を硬直化させてしまう人たちを“おっさん”と定義したのです。もちろん“おっさん”的体質の人は中高年男性だけでなく、若い人にも女性にもいます。
〈谷口さんは外部から招聘された女性理事として改革を進めていたが、閉鎖的な「ラグビー村」の“おっさん”に疎まれ、協会内から排除されていったと著書のなかで明かしている〉
山田:でも、こんなに書いてしまって、どこかから攻撃されませんでしたか?