レギュラー奪還となるか──。3月12日、巨人・小林誠司がオリックスとのオープン戦で1号ソロを含む3打数3安打と大爆発し、正捕手争いに名乗りを挙げた。1月22日に新型コロナウイルス陽性判定を受け、キャンプは三軍スタート。その後も一軍にはなかなか上がれず、この試合が今季オープン戦初スタメンだった。プロ野球担当記者が話す。
「過去に日本代表に選ばれたことからもわかるように、守備力は球界トップクラス。昨年、原辰徳監督も『大城(卓三)と同じくらいのバッティング力があるならば、小林を使いますよ』と言っていた。入団当初からずっと指摘されていますが、小林の課題は打撃です。ここ2年は打数が少ないとはいえ、打率1割にも達していない。指名打者制のないセ・リーグでは、捕手の打撃力がより重視されます」(以下同)
長らく巨人には阿部慎之助という4番を打てる強打の捕手がいた。2001年の入団以降、阿部は14年間にわたってレギュラーキャッチャーを務め、5度もシーズン30本塁打以上を放った。2012年には首位打者と打点王の2冠を獲得し、MVPにも輝いている。
「小林でなくても、阿部のように打てというのは酷です。ただ、原監督には“阿部の残像”がありますし、『打てるキャッチャーが好き』と公言している。小林がレギュラーを掴むには打って道を拓くしかない。
小林が100試合以上に出場してレギュラーだった2016年から2018年まで、巨人は優勝していない。その3年間、2割0分4厘、2割0分6厘、2割1分9厘と打てず、OPS(出塁率+長打率)も0.5台でした。
球団の歴史を振り返っても、優勝した時は捕手がある程度、バッティングで貢献しています。V9の正捕手である森昌彦(現・森祇晶)はV1の年には2割7分7厘で打撃ベストテンの9位、V3の年には規定打席未満ながら2割7分8厘と打っているし、打率の低かったV2の年は62打点、V4の年は11本塁打と貢献していた。逆に、打力が落ちていったV9の終盤には出番が減っていきました」