いつどこで発生するかわからない大地震。外出先で被災し、帰れなくなってしまうことも十分に考えられる。実際に東日本大震災では、首都圏で公共交通機関が止まり、約515万人が当日中に自宅に帰れない“帰宅困難者”になった。そういったときのことも事前に考えておくといいという。災害危機管理アドバイザー・和田隆昌さんはこう話す。
「大勢が移動すると転倒事故が起き、道路にまで人があふれて救急活動の妨げになります。東京都は条例で、災害時はむやみに移動しないよう呼び掛けているほど。ですから私なら、災害時に一時滞在場所となるJRや地下鉄の駅にとどまるか、自治体が指定している学校や大型オフィスビル、ホテルなどの“指定避難所”に身を寄せます。これらの場所では、水や毛布なども支給されます」
被災直後の混乱時は、余震の危険性も高いため、無理して帰らず、安全が確保された場所で状況を見守るといい。
「いずれにせよ、最低限の防災グッズを持ち歩くことが大切です。私はいつも、ペットボトル(水)、スマートフォンの充電器、助けを呼ぶための笛を持ち歩いています」(和田さん)
特にスマホは、情報収集や懐中電灯としても使える。バッテリーは必ず常備を。
海の近くで地震が発生したらどうすればいいのか
防災アドバイザーの高荷智也さんが説明する。
「海の近くにいる場合、大地震発生から早くて数分で津波が襲ってきます。私なら、揺れが収まったらすぐ、高台や丈夫なコンクリート造のビルの高層階、津波避難ビル(別掲イラストのマークのついたビル)や津波避難タワーなどの津波避難施設【*】を目指して移動します。津波避難は、距離より高さ。遠くへ行くより高い場所を目指します」
【*津波による浸水が想定される地域に設置された建物。地震発生時に住民が一時的、もしくは緊急に避難・退避するための施設。2018年時点で津波避難ビルは全国に1万4903棟、津波避難タワーは427棟ある】