近年、日本人の若年男性が“低身長化”しているという。厚労省「国民健康・栄養調査」によれば、2019年の20歳男性の平均身長は170.2cm(標準偏差6.8)。21歳男性では168.7cm(同6.1)だった。2009年の同調査では20歳173.5cm(標準偏差5.8)、21歳170.1歳(同)だったから、10年で2cm程度縮んだとも言えそうだ。そうした中、“身長168cm以下”をターゲットとした衣料品ブランドが登場した。小柄男性ならではのファッションの悩みや強みについて、「ユナイテッドアンツ(UNITED ANTS)」代表の大谷成さん(27)に話を訊いた。
ユナイテッドアンツは2021年1月に設立。通常のアパレルショップのSサイズでも合わないという小柄男性に向けた商品をオンラインサイトで販売している。代表の大谷さんも身長162cmの小柄男性。これまで背が低いことでコーディネートの悩みを抱え続けてきた。
「一番の悩みは自分に合うサイズのパンツがないことでした。本当はアンクル丈やジャスト丈で履いて足が綺麗に見えるようにしたいんですけど、Sサイズでも長いので、ファッションの選択肢がかなり狭まってしまう。他の小柄男性に話を聞いた時も、やっぱりパンツに不満を抱えている方が多かったです。
もちろんトップスもサイズが合わない。例えばユニクロのSサイズは着丈が70cm以上あるんですけど、そうなると身長168cm以下の男性には長いんですね。そのまま着るとどうしても足が短く見えてしまう。なのでタックインしか選択肢がなくなってしまうんです」(大谷さん、以下「」内同)
自身の悩み解決のためにも新たなメンズブランドの立ち上げを決意した大谷さんは、調査を兼ねて様々な小柄男性のインフルエンサーにDMでコンタクトを取った。大半のインフルエンサーからは返事があり、悩みや課題についてメッセージが寄せられた。中には商品開発のきっかけとなった意見も含まれていたそうだ。
「商品企画につながるメッセージを送ってくださった方がいました。それにはハッとさせられた。フレアパンツという、膝から裾にかけて広がる形のパンツがあるんですけど、小柄男性が履くと膝位置がどうしても合わないんですね。裾上げをすると裾の広がりがなくなってしまう。
それでその方は『小柄男性用のフレアパンツを作ったらどうか』と仰ってくださって、なるほどと思って膝位置を上げるなど工夫をして自分なりに小柄男性用のフレアパンツを開発したんです。それが今一番売れているユナイテッドアンツの看板商品になりました」