「まだオープン戦」と悠長に構えていられるような状況ではない。巨人の得点力不足が深刻だ。3月15日終了時点で、オープン戦12試合を消化してそのうち10試合が3得点以下。3月5日の日本ハム戦から8試合連続2得点以下と打線が全く機能せず、オープン戦最下位に転落している。他球団スコアラーが厳しい評価を口にする。
「昨季の課題が全く解消されていません。坂本勇人(33)、丸佳浩(32)、岡本和真(25)、中田翔(32)、ウィーラー(35)と実績のある選手が並びますが、一発に頼った打線でつながりがない。ウチの投手に聞いたら『巨人は機動力がないので打者に集中できる。怖さはないですね』と言い切っていました。
本来なら松原聖弥(27)、吉川尚輝(27)ら俊足の若手たちがチャンスメークを担う役割で一本立ちしなければいけないはずですが、松原は春季キャンプの実戦から精彩を欠き、オープン戦でも下位でスタメン起用されて結果を残せずに二軍降格。吉川も野球センスはチーム屈指ですが、走者を置いた場面で簡単に打ち上げるなどチームバッティングができない場面が目立つ。投手陣に不安を抱える中、打線が援護しなければいけないですがコンスタントに得点を取れる陣容ではない。うちのチームも、巨人戦は十分に戦えると思います」
シーズン終盤に大失速した昨季も得点力の低さが指摘されていた。169本塁打こそリーグトップだが、552得点はリーグ4位というデータが物語っている。不動の4番・岡本が39本塁打、113打点で2年連続2冠王に輝き、23本塁打の丸、19本塁打の坂本ら、2ケタ本塁打を放った打者は6人出たが、2ケタ盗塁は松原と梶谷隆幸(33)の2人のみ。盗塁成功率を見ると、松原が68.2%、梶谷が57.9%と高い数字とは言えない。勝負どころの代走として起用されることが多い増田大輝(28)も8盗塁を記録した一方で、4度の盗塁失敗で成功率は66.7%にとどまった。
ただ、巨人のチーム盗塁数が特別少ないわけではない。日本一に輝いたヤクルトはリーグトップの625得点を叩き出したが、盗塁数は巨人の65より若干多い70。阪神はリーグトップの114盗塁をマークしたが、総得点は541と巨人を下回る。