まるで古代ローマが征服した都市の連帯を阻んだ「分断統治」のようなシステムである。そのうえ、国内で少しでもおかしな動きがあれば、すぐにプーチン氏の知るところとなる組織編成になっているという。前出・菅原氏はこう続ける。

「プーチンの直接的な警護を担っている精鋭部隊FSO(ロシア連邦警護庁)の中に、さらに大統領専門の警護隊があります。これはアメリカでいうシークレットサービスですね。

 この警護隊は大統領の身辺警護とクレムリンの警護を専門で担っているだけではなく、技術通信情報局という機関も管理しています。これは国内の様々な傍受情報や盗聴情報などを管理するセクションで、何か怪しげな動きがあればすぐにプーチンの耳に入るようになっているのです」 

 旧ソ連の諜報機関・KGB出身であることも、歴代のトップと比べても群を抜いて猜疑心が強い理由のひとつだという。

「権力闘争に敗れて表舞台から去ることになったゴルバチョフやエリツィンと違うのは、やはり生え抜きの情報機関の人間なので裏切り者を見つけるためのシステムを構築するのが得意であるということです。

 ロシアはもともと国内の謀略などが非常に多い国ですから、独裁体制を築くためには外部からの工作活動などに対して何重ものバリケードを施す必要があるし、チェチェン独立派などの反乱要素にも目を光らせなくてはいけない。プーチンは大統領就任直後から、そういった自らの権力を脅かす存在への策を講じていたのです。

 プーチンの暴走を確実に止めるためには、国内の治安機関のトップを務めているような人たちが全員で同時に『反プーチン』の旗を振らないと難しいでしょう」

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