エステサロンで人の手を借りて美肌や痩身を手に入れるには、それなりのお金と時間が必要だが、美しさは自分の手で得ることも不可能ではない。効果的な“セルフエステ”のテクニックもあるのだ。
深部リンパ協会理事長でRUBYZ顧問の夜久ルミ子さんによれば、ダイエットや美肌、若返りを叶えるには、筋肉の中の「深部リンパ」の流れをよくすることが重要だ。一般的なマッサージで流れを促進できるのは、真皮を流れる浅部リンパ。これがリンパ液全体の6%なのに対し、深部リンパは全体の94%にもなるため、深部リンパを流すマッサージは、通常のマッサージの10倍もの効果があるという。
「リンパ管は全身をめぐって、主に老廃物の回収・排泄を行っているので、深部リンパの流れをよくすることで、全身のむくみの改善や内臓の活性化につながります。リンパの流れがよくなると同時に血流もよくなって冷えが改善し、免疫力や自律神経も整い、代謝が上がります」(夜久さん・以下同)
全身のリンパが集積するポイントは、鎖骨、首、わきの下、横隔膜、お腹、腰、そけい部、ひざ裏、足首の9つがあり、特に重要なのが3つ。
「鎖骨は全身のリンパが集合する“関所”なので、ここをほぐすことで全身のリンパの流れがよくなります。上半身のリンパが集積するわきの下は、肩や背中まわり、二の腕を細くするのに効果的。下半身のリンパが集まるそけい部も詰まりやすい場所ですが、ここを刺激することで下半身のむくみが取れ、太ももを細くすることができます」
それぞれのセルフエステ術については画像で説明した。
深部リンパのマッサージは、入浴時、体を洗いながら行うか、朝の起き抜けがおすすめ。筋肉をしっかりと圧迫するために、あえてオイルやクリームなどはつけずに行うのがコツだ。
顔のたるみやしわが気になるなら、入浴後にスキンケアをしながら「指鍼」でマッサージ。ハリジェンヌ院長の光本朱美さんが言う。
「長いマスク生活で表情が乏しくなり、顔の下半分の筋肉は衰えてたるみ、一方で、顔の上半分は、マスクをしたまま相手に表情を伝えようと酷使されてこっています。これを指の骨を使って鍼治療のようにほぐすのです」
効果を実感しやすいのは、ほうれい線とフェイスライン。比較的大きい筋肉のため刺激しやすいという。また、顔全体のたるみを改善するためには、顔よりも先に頭皮からほぐすのがおすすめだ。顔周りの“指鍼”についても画像で説明した。
「筋肉がほぐれると血行がよくなるので、たるみが改善するだけでなく、細胞に充分な酸素と栄養が供給されるようになり、シミやしわが薄くなったり、くすみが晴れたりと、さまざまな美肌効果も期待できます。肌代謝が上がることで化粧水などの浸透がよくなった人もいます」(光本さん)
指鍼は、夜のスキンケアや就寝前に行うことでその日の顔のコリをほぐすことができ、朝行うことで筋肉を活性化させて血流を上げ、化粧ノリがよくなるという。道具いらずのセルフエステ。今日から習慣にしたい。