長きに渡り国民的作品として親しまれている“スーパー戦隊シリーズ”。その最新作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(テレビ朝日系、毎週日曜朝9時30分〜)が革新的と話題だ。番組プロデューサーに話を聞くと、従来のシリーズの常識を覆す挑戦の裏には31年ぶりにメイン脚本を務める脚本家の存在があった。
シリーズ46作目となる『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』は、昔話の桃太郎をモチーフに、主人公・ドンモモタロウをはじめとした5人のヒーローたちが悪に立ち向かう物語。“お供”のサルブラザー、イヌブラザー、キジブラザーのほか、桃太郎では敵役である鬼をモチーフにしたオニシスターもドンモモタロウの仲間となって共に戦う。
主人公はドンモモタロウだが、物語はオニシスターこと鬼頭はるか目線で始まる。鬼頭はるかは突然ヒーローに変身する力を得ることになった、ごく普通の女子高生だ。女子高生を語り部とした理由について、番組プロデューサーの白倉伸一郎氏はこう説明する。
「レッドのドンモモタロウ=桃井タロウは人智を超越したヒーローという位置づけで、かなり常人離れしているんですね。一方でイエローのオニシスター=鬼頭はるかはいわゆる普通の女子高生。わりと等身大に近い位置づけになっています。その鬼頭はるかが語り部の役を務めるので、視聴者とほとんど変わらない目線から入り、徐々に非日常的な世界が広がっていき、その極致であるところのレッドと出会う。
あくまでも男の子向けの番組ではあるので、女の子が物語を牽引していく、または女の子と一緒に感情移入してヒーローを見ていくというのは、ややチャレンジングな試みなんです。けれど脚本家の井上敏樹先生の腕前もあって、とても自然に出来上がりました。きちんとスーパー戦隊のヒーロー番組として成立しています」