3月のプロ野球開幕を前に、江本孟紀氏、中畑清氏、達川光男氏という大物球界OBの3人が『週刊ポスト』の座談会に臨んだ。原巨人、そしてキャンプイン前に今季限りでの退団を発表した矢野燿大監督率いる阪神への評価はいかに?【全4回の第3回。第1回から読む】
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江本:戦力は整っているはずの巨人は本来、話は簡単。優勝するにはクリーンアップが打ち、菅野が20勝すればいいだけ。ただ、丸(佳浩)を1番に置くと、2番に苦労する。ボクなら2番に川相(昌弘)みたいなタイプを入れますね。吉川(尚輝)を入れてもバントもできないし、粘り強いバッティングができるわけでもない。“ただのいいバッター”ですからね。
中畑:原監督もそこが悩みだろうね。吉川の能力は認めているが、状況判断の中で役割を果たせず、非常に淡白だと気にしている。いっそ、“バントができない”で終わらせずに、やらせればいいんだと思うよ。
達川:できなくてもサインで動かせばいい。
中畑:サインを出して失敗したとしても、もっともっとやらせないと選手は変わっていかない。
江本:それもせずにメジャーの2番最強打者論に迎合して坂本(勇人)を2番にしたりした。なんでもメジャーの真似じゃダメ。松原(聖也)を2番に据えても、やはり小技ができない。ランナーがいると外野フライを狙っていたから、ボクが解説の時は“ホームランバッターの松原さん”と言ってやりましたよ。何がやりたいのかわからんね。
達川:わからんといえば、阪神の矢野(燿大)はなぜキャンプ前に今季での退団を発表したのか。
中畑:これまでそんな監督いたかな。
江本:いませんよ。辞めようと思っても、口に出して言ったらダメ。キャンプで糸井(嘉男)と西(勇輝)が音頭をとって矢野監督の胴上げの予行演習をした。目標達成を前もって祝い、現実を引き寄せる“予祝”と呼ばれるものだと言っていたけど、“予祝”は豊作を祈ってやること。阪神は豊作を願ってるの? 学がないのがちょっと聞きかじってやるから恥ずかしいことになる。
中畑:監督が辞めると言ってしまうと、コーチだって大変だよ。
達川:矢野が呼んだコーチは覚悟せんといかん。