ロシアから侵攻を受けているウクライナのゼレンスキー大統領が、3月23日に日本の国会でのオンライン演説する方針が固まった。ゼレンスキー氏はこれまでに米国や英国、ドイツ、カナダの議会でもオンラインなどでスピーチを披露し、その圧倒的な発信力でそれぞれの国の議員、そして国民の心を動かしてきている。そして今回、日本の国会に向けた演説でも“爆弾発言”が飛び出すのではないかと、注目の的となっているのだ。
ゼレンスキー氏はロシアの侵攻を受けて、ウクライナへの支援などを呼びかけるため、各国の議会にオンラインでの演説を打診してきた。3月16日には米連邦議会でスピーチし、その内容が大きな支持を集めるととともに物議を醸した。自民党関係者が言う。
「ウクライナの窮状を訴え、米国からの支援を求める見事な演説でした。途中にマーチン・ルーサー・キング・ジュニアの“I have a dream”を引くくだりを入れるなど、米国人の琴線に触れるような工夫が随所にあった。いきなり侵攻を受けたウクライナの置かれた状況を説明するために、1941年12月7日の日本軍による真珠湾攻撃を引き合いに出し、“パールハーバーを思い出してください”と語りかけました。
もちろん日本人の目線から見れば、軍事施設を標的にしていた真珠湾攻撃よりも、人類の歴史上で唯一、広島と長崎で民間人に向けて核兵器を使用した当時の米国のほうが、いま核攻撃を示唆しているロシアのプーチン大統領と重なってくるように思えるのは当然。ただし、米国でのスピーチで真珠湾攻撃に言及する効果は抜群で、喝采を集めました」
ゼレンスキー大統領の言葉の力は卓越している。3月17日にドイツ連邦議会(下院)でビデオ演説した際には、ドイツからの支援に感謝の意を示すと同時に、近年のドイツとロシアの関係を批判することを忘れなかった。
「ドイツとロシアとを結ぶ天然ガスパイプライン『ノルドストリーム2』などについて、結果としてプーチン政権が戦費を稼ぐ手段となったことをきちんと批判しました。そのうえで、かつて東西冷戦の象徴だったベルリンの壁を打ち壊したドイツに向けて、“欧州に再び、自由と不自由を隔てる壁ができている”と訴えかけ、それを打ち破るための支援を要請した。各国に対してアレンジを変える、相当練り込まれた演説だ」(大手紙政治部記者)
そうなると注目されるのは、日本の国会に向けた演説がどのような内容になるかだ。ベテラン政治ジャーナリストはこう言う。