昨年10月に日本生活習慣病予防協会が全国40〜60代の男女3000人に行った最新調査によれば、新型コロナの感染拡大前と比べると、3人に1人の体重が増加している。
在宅時間が増えて、食べても体を動かさなくなったからとも取れるが、3人に1人もの人が「コロナ前より食べる量が大幅に増えた」とは考えづらい。むしろ「太らないように食事を減らしているのに、なぜか太った」という人も多いのだ。心当たりのある人も多いだろう。だが、食べるのをがまんすることこそ、あなたを太りやすい体にしている一因だ。
パーソナルトレーナーで『ダイエットは運動1割、食事9割』などの著者・森拓郎さんは、食べないダイエットの間違いを指摘する。
「脳や赤血球など、生きるための身体活動には、糖質が不可欠です。ところが、糖質制限や過度な食事制限で体内の糖が不足すると、体が自動的に、できるだけエネルギーを使わないよう“省エネモード”になる。これにより、体の消費カロリーが落ちて、少し食べただけでも太りやすくなるのです」
食事を減らして、最初こそ体重が落ちても、体質はどんどん太りやすくなっていくということだ。食べないダイエットを始めたら最後、それまでの食事量では体重が落ちにくくなり、さらに食べる量を減らし、さらに代謝が落ち……という、悪循環に陥ることになる。
たんぱく質で代謝が上がる
森さんは、代謝を上げるために、肉や魚、卵、乳製品、大豆製品などを積極的に食べ、たんぱく質の摂取量を増やすことをすすめる。
「食べたものをエネルギーとする『代謝』は、大きく3つに分かれます。1つ目は、24時間、呼吸や内臓の活動など、生きるために絶えず行われている『基礎代謝』で、代謝の60%を占めます。2つ目は、日常動作や家事、仕事、運動など、体を動かすことで消費するエネルギーの『活動代謝』。そして3つ目が、食事をすることでエネルギーを消費する『食事誘発性熱産生(DIT)』で、食後は消化吸収のため、安静にしていても代謝が高まります。