国際情報

韓国新政権で「反日団体」排除の動きも 慰安婦問題で進展あるか

慰安婦問題はどう対応するのか(写真は2021年ソウルで開かれた正義連の定例集会/共同通信社)

新政権では慰安婦問題をどう対応するのか(写真は2021年ソウルで開かれた正義連の定例集会/共同通信社)

「(文在寅政権下で)日韓関係は修復不可能なところまで悪化している。外交は現実主義に立脚すべきだ。元徴用工問題や慰安婦問題、安全保障協力、貿易対立などの懸案を全部一緒に1つのテーブルの上に置いて議論するグランドバーゲン(包括合意)方式でアプローチする必要がある」

 韓国の大統領選挙に当選した尹錫悦氏は選挙中にこう主張していた。

 さらに尹氏は「イデオロギー偏向的な竹槍歌を歌っているうちに、ここまで来てしまった」とも口にした。「竹槍歌」は朝鮮王朝末期の抗日反乱を題材にした歌で、“タマネギ男”と呼ばれた曺国元法相が反日を鼓舞する時に引用したことでも有名になった歌である。

 古臭い反日イデオロギーからの脱却を繰り返し公言してきた尹氏の対日政策で、最大の焦点となるのが日韓歴史問題の行方である。そこでは新政権が直面する3つの課題がある。

 第1の課題は政権発足後、最初の課題となりそうな徴用工問題だ。韓国内でいくつも提起された徴用工裁判では、いずれも日本企業側に賠償を命じる判決が出た。その後、資産差し押さえが実行され、現在は資産の現金化のタイミングを巡り日韓でにらみ合いが続く状況となっている。

 この問題についての日本政府のスタンスは、韓国側の動きを静観しようというものだ。日韓関係の打開を図りたい尹氏サイドには「賠償金を韓国政府が肩代わりするという案も検討されている」(ソウル特派員)という。

 徴用工問題支援団体の幹部はこう語る。

「新政権が日本側と協議のテーブルを作れるかがポイントになるでしょう。ただ、そのためには韓国側が譲歩しなければならない状況になる可能性がある。韓国政府が賠償金を肩代わりすれば、直ちに『(国民から)なぜ民間の損害賠償を税金で支払うのか』という声が上がる。その論理をどう乗り越えるか。韓国政府がどのような解決策を提示するのか注目です」

 第2の課題は、長らく日韓関係の重要課題となってきた慰安婦問題についての対応である。

 文政権下では、「不可逆的解決」を謳った2015年日韓合意(慰安婦合意)が、事実上破棄されてしまった。

 太平洋戦争の遺族団体の事務局長を務めてきた崔容相氏(現「行こう!平和人権党」代表)が語る。

「慰安婦問題は、朴槿恵政権で合意した韓日慰安婦合意に立ち返って、もう終結させなければなりません。文政権のような左派のやり方では韓日関係を解決することは難しいと認識しなければならないのです」

 文政権下では元慰安婦支援団体である「正義記憶連帯」(正義連、旧挺対協)等の、いわゆる反日団体が存在感を強めていった。「正義記憶連帯」等は慰安婦問題を利権化し、日韓歴史問題を〝解決しないこと〟を目的として反日世論を扇動してきた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
X子さんフジ退社後に「ひと段落ついた感じかな」…調査報告書から見えた中居正広氏の態度《見舞金の贈与税を心配、メッセージを「見たら削除して」と要請》
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレが関東で初めてファンミーティングを開催(Instagramより)
《新メンバーの名前なし》ロコ・ソラーレ4人、初の関東ファンミーティング開催に自身も参加する代表理事・本橋麻里の「思惑」 チケットは5分で完売
NEWSポストセブン
中居氏による性暴力でフジテレビの企業体質も問われることになった(右・時事通信)
《先輩女性アナ・F氏に同情の声》「名誉回復してあげないと可哀想ではない?」アナウンス室部長として奔走 “一管理職の職責を超える\"心労も
NEWSポストセブン
濱田淑恵容疑者の様々な犯罪が明るみに
【女占い師が逮捕】どうやって信者を支配したのか、明らかになった手口 信者のLINEに起きた異変「いつからか本人とは思えない文面になっていた」
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
「スイートルームの会」は“業務” 中居正広氏の性暴力を「プライベートの問題」としたフジ幹部を一蹴した“判断基準”とは《ポイントは経費精算、権力格差、A氏の発言…他》
NEWSポストセブン
大手寿司チェーン「くら寿司」で迷惑行為となる画像がXで拡散された(時事通信フォト)
《善悪わからんくなる》「くら寿司」で“避妊具が皿の戻し口に…”の迷惑行為、Xで拡散 くら寿司広報担当は「対応を検討中」
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”4週連続欠場の川崎春花、悩ましい復帰タイミング もし「今年全休」でも「3年シード」で来季からツアー復帰可能
NEWSポストセブン
騒動があった焼肉きんぐ(同社HPより)
《食品レーンの横でゲロゲロ…》焼肉きんぐ広報部が回答「テーブルで30分嘔吐し続ける客を移動できなかった事情」と「レーン上の注文品に飛沫が飛んだ可能性への見解」
NEWSポストセブン
佳子さまと愛子さま(時事通信フォト)
「投稿範囲については検討中です」愛子さま、佳子さま人気でフォロワー急拡大“宮内庁のSNS展開”の今後 インスタに続きYouTubeチャンネルも開設、広報予算は10倍増
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ
「スイートルームで約38万円」「すし代で1万5235円」フジテレビ編成幹部の“経費精算”で判明した中居正広氏とX子さんの「業務上の関係」 
NEWSポストセブン
「岡田ゆい」の名義で活動していた女性
《成人向け動画配信で7800万円脱税》40歳女性被告は「夫と離婚してホテル暮らし」…それでも配信業をやめられない理由「事件後も月収600万円」
NEWSポストセブン
現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン