マットレスなどを敷き、スーツケースを広げて寝泊まりする人たちがいるウクライナの首都、キエフの地下鉄の様子をニュースなどで目にして、東日本大震災のとき、帰宅の足がなくなって仕方なく駅へ続く地下通路で一晩を明かした人が少なくなかったことを思い出した人もいるだろう。韓国・ソウルではミサイル発射の際には地下鉄へ逃げ込むよう呼びかけられているが、東京ではどうなのか。ライターの小川裕夫氏がレポートする。
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2月24日、ロシアがウクライナへと侵攻。世界を揺るがす事態へと発展している。ウクライナ情勢は、原油・ガスといったエネルギー関係や穀物価格にも影響を及ぼすなど、遠い日本にとっても無関係とは言い切れない。
ウクライナの首都・キエフ(キーウ)では、ロシア軍からの攻撃を避けるため、地下鉄構内へと避難する市民もいる。そうしたニュース映像を目にすると、北朝鮮のミサイル発射で気を揉む日本でも、有事の際には地下鉄へと逃げ込むのが安全なのか? という疑問が沸く。
「東京メトロの地下駅は、武力攻撃による避難場所としては想定しておりません。しかし、そのような事態が起きた場合は、人命優先の観点から地下駅構内で避難をしていただくことになると思います」と話すのは東京メトロ広報部の担当者だ。
東京都内では、東京メトロと東京都交通局(都営地下鉄)の2者が地下鉄を運行。その最深部は都営地下鉄の六本木駅地下で、深さは約42.5メートルとなっている。それでは最深部を走る都営地下鉄は、どうなのか?
「東京都交通局が運行している都営地下鉄大江戸線の清澄白河駅と六本木駅には防災倉庫があります。しかし、駅をシェルターとして使用することは想定していません。あくまで火事や地震の際に一時的な退避する場所として使うという考え方です」と話すのは、東京都交通局お客様サービス課の広報担当者だ。
キエフ地下鉄は世界でもっとも深い場所を走っているとされ、最深のアルセナーリナ駅は地下105.5メートルにプラットホームがある。
キエフの地下鉄が深い場所に建設された理由は定かではないが、ウクライナが世界で二番目に核実験を成功させた旧ソビエト連邦の構成国家だったことを考えると、地下鉄が核シェルターとしての転用も視野に入れて建設されたのではないかと訝ってしまうのも不思議ではない。