個性として認めるべきか、相手球団に対して礼を失していないか──日本ハム・新庄剛志監督が3月19日のオープン戦で、試合前にサングラスをつけたままDeNA・三浦大輔監督と挨拶を交わしたことが波紋を広げている。
他球団の関係者は複雑な表情を浮かべる。
「三浦監督は何とも思っていないでしょうけど、ちょっと失礼なんじゃないですかね。新庄監督はプロ野球を盛り上げるために色々仕掛けてくれて非常に貢献度が高いと思いますが、全ての行動を個性的と称賛する風潮には違和感を覚えます。試合前のメンバー表交換は帽子を取って一礼して、サングラスも外すのが礼儀ではないでしょうか。実際、新庄監督は巨人の原辰徳監督や他の年上の監督にはメンバー表交換の際にサングラスを外して挨拶をしている。三浦監督は2学年下だからこのような振る舞いをしているのかと勘ぐりたくもなってしまいます……」
「異端児」として球界に新風を巻き起こしている新庄監督だが、「体育会系気質」の部分はしっかり持ち合わせている。目上の指導者にはしっかり挨拶し、謙虚な姿勢で接している。人懐っこい性格もあってか他球団の指揮官たちのハートをがっちりつかんでいる。
2月15日に那覇で行われた練習試合・巨人戦の試合前練習では、新庄監督が打撃ケージ後方にいた原監督に駆け寄り挨拶。プロデュースした香水をプレゼントした。原監督は笑顔でゲージ裏の「原タワー」に招き入れ、2人は熱い野球談議を約50分間交わしていた。また、翌16日の練習試合・中日戦では驚きの光景が。清宮幸太郎が打撃練習を終えると、新庄監督と共に中日・立浪和義監督のもとへ。新庄監督がお願いする形で、球団の垣根を越えた立浪監督の打撃指導が実現した。
同一リーグの監督にも「新庄流」のコミュニケーションは変わらない。今月16日のオープン戦・西武戦の試合前のメンバー表交換で、西武・辻発彦監督に自身が愛用する黒マスクをプレゼント。辻監督は驚きの表情を隠せなかった。
今回の新庄監督の振る舞いに、DeNAファンからSNS上で〈三浦監督をナメている〉と批判の声もあがったが、決して三浦監督を軽んじているわけではないだろう。試合前には三浦監督、鈴木尚典打撃コーチと会話を交わしている。メンバー表交換の際も、新庄監督は三浦監督に「黒色のもの」を渡している。報道によると、三浦監督は「黒いメンバー表です」とかわし、翌日にはそれが「黒いマスク」の贈り物だったことを明らかにした。新庄監督が好意的な姿勢を見せていることは間違いないだろう。