大阪校からはダウンタウン、ナインティナイン、ブラックマヨネーズ、ゆりやんレトリィバァ、東京校からはピース、渡辺直美、空気階段……毎年確実に旬な芸人を育て、デビューさせてきたのが、吉本興業が運営する吉本総合芸能学院「NSC(New Star Creation)」だ。はたして笑いを量産するNSC独自のカリキュラムはどのようなものか。その授業内容に迫った。
どのお笑い学校でも、ネタを講師の前で披露し批評を受ける「ネタ見せ」の授業がメイン。そのほか、歌や踊り、演技、モノマネを含めたパフォーミングなど、表現力を高める授業がどう加わるかで各学校の個性が出る。
NSCでは、通常カリキュラムのほか「吉本新喜劇の基礎知識」「キングオブコント対策授業」「R-1グランプリ対策授業」「一発ギャグの作り方」といった単発の特別授業が豊富。過去のコンテスト王者から直接学べるチャンスにも恵まれる。
NSCに入学後、4月には早速「相方探しの会」が行なわれ、各人がネタを披露したり自己紹介したりしつつ、漫才やコントの仲間を作るところから始まる。生徒数の多いNSCのこと、相性のいい相方を見つけやすい点も心強い。NSCを含めた吉本の学校では、2022年度生徒を3月末まで募集中。同じ志の仲間と出会う絶好の機会だ。
主な授業内容
・ネタの作り方
今までコントや漫才のネタを作ったことがない生徒たちへ、発想のヒントや組み立て方をいちから伝えていく。すでにネタ作りの経験がある生徒にとっても、コツを知ることで「ネタ作りのスピードが上がる」と好評だ。
・トーク・即興
テレビのバラエティ番組、ラジオ、即興ライブで、芸人は常に笑いを期待されている。ふいにお題を出されたら、どうやって話を広げ、笑いへつなげていけるかが勝負。トークや即興コントをスムーズに進めるヒントを会得する。
・ネタ見せ
NSCの核となる授業。ネタを講師や生徒の前で披露し、講師から指導を受ける。ネタの内容のほか、声の張り方や演技力を含めた表現力をすべてチェック。回数をこなすと、生徒は自分なりのネタの方向性が定まってくる。
・自己解放
芸人にとっては、恥ずかしいと思う気持ちがときに笑いの爆発力を抑制してしまう。恥の感覚を捨てて全力で笑いを獲りにいける芸人になるためのひとつの方法として、ラッキィ池田氏を講師に迎えコミカルなダンスを体験。
・発声・演技
ライブでは声が通らなければ、せっかくのネタも客席の隅々まで伝わらない。また、素のままで話しているような漫才スタイルであっても、実際は観客を引き付けるための演技力が必要。ライブに欠かせない要素を基礎から学ぶ。
取材・文/山本真紀 撮影/古川章
※週刊ポスト2022年4月1日号