全国で小児(5~11歳)に対するワクチン接種が始まった。心筋炎等の発症例が少ないファイザー製ワクチンを使用し、接種量は成人(12歳以上)の3分の1に抑えられている。接種間隔は成人と同じく3週間で、回数は2回だ。
そんな、子供のワクチン接種をめぐり、「妻が相談もなしに子供をワクチン接種に連れて行った」「話し合いもしていないのに夫が予約しようとしたので、スマホを取り上げて『ちょっと待って』と言った」など、家庭内トラブルが続出しているという。
小児の接種で意見が対立するのは、夫婦間だけではない。夫婦家族問題コンサルタントの池内ひろ美氏が語る。
「夫婦で意見が一致しても、祖父母と意見が分かれるケースも多く見受けられます。祖父母からすると、子供夫婦は心配ですし、可愛い孫のため、どうしても『打ったほうがいい』あるいは『打たないほうがいい』と、意見を知らず知らずのうちに押し付けてしまいがちです」
6歳と2歳の子供がいる福島県在住の自営業のAさん(46歳・男性)は、両親と同居しているが、ワクチン接種で親子トラブルが生じたという。
「両親は二人とも70代後半ですが、現在も商店を経営していて、『常連の高齢のお客さんにうつしたら大変だ』と、3回目の接種も済ませています。私や孫に『早く打て』『学校でもらってきて、うつされたら、たまったもんじゃない』と言うんです。私と妻は3回目を接種する予定ですが、子供の接種には反対しているので、親との関係が険悪になりつつあります」
国立感染症研究所の調査(3月10日付)によると、オミクロン株による感染の致命率は、季節性インフルエンザの致命率よりも高いと考えられ、死者も80歳以上の占める割合が高くなっている。依然、高齢者にとっては危険性が高いウイルスであることは違いなく、世代による意識の違いが浮き彫りになっている。
息子夫婦と同居しているBさん(73歳・男性)の妻は、思い余った行動に出たという。
「9歳の孫がいるんですが、息子夫婦は『子供には打たせない』と言ってきた。本音を言えば、孫に打たせてほしかったのですが、息子夫婦が決めたことなら文句は言えません。しかし、妻は、孫にもいいことだと考えて、毎日、郵便受けを確認して、接種券が来るや勝手に予約して、孫をかかりつけ医に連れて行ってしまったんです。
ところが、小児接種には親権者の同意と同伴(もしくは委任状)が必要なことを知らなかったため、不審に感じた医者から息子に電話がいき、バレました。息子も嫁も激怒して、それ以来、口をきいてくれません」