もとより、ロシアは軍事大国で最新の武器を備える。超巨大ICBM(大陸間弾道ミサイル)「サルマト」の射程は1万1000kmに及び、最大16個の核弾頭が搭載可能とされている。わずか10発でアメリカの全国民を殺害する威力を持つといわれている。プーチン大統領(69才)研究の第一人者で、筑波大学教授の中村逸郎さんはいう。
「日本が攻め込まれれば、第二次世界大戦同様にヨーロッパで始まった戦争がアジアに飛び火することになるでしょう。プーチン氏が日本に軍事力を行使することは、その先の世界大戦も視野に入れているということです」(中村さん)
だが、日本にはアメリカとの日米同盟がある。有事の際は日本に駐留するアメリカ軍が敵国から守る条約だ。しかし、そんな最後の砦さえも砂上の楼閣なのかもしれない。
現にウクライナは1994年、当時世界3位の規模を誇った核兵器を放棄する代わりに領土の安全が保障される「ブダペスト覚書」を、アメリカ、イギリス、ロシアなどと締結した。しかし今回、そのアメリカはウクライナへの軍派遣を「世界大戦になる」との理由で実行していない。
「日本がロシアに攻め込まれたとしても、残念ながらアメリカはかかわってこない可能性もあるでしょう。ウクライナ侵攻を阻止できなかったアメリカのバイデン大統領が、日米同盟だけは遵守するということも考えにくい。いまの状況が悪い前例となり、ロシアにとっては日本侵攻のハードルが低くなったといえます」(中村さん)
最悪のシナリオは動き始めている。
※女性セブン2022年4月7・14日号