「まん延防止等重点措置」の解除とともに、すっかり新型コロナの自粛生活が終わるような期待感が漂っている。ところが、テレビなどで新型コロナの解説を続ける白鴎大学教授の岡田晴恵氏は、「第6波は、終わっていません」と警鐘を鳴らす。
「昨秋に感染者数が激減した第5波は、流行の最中にワクチンを打つ人が一気に増え、ワクチンと感染の両方で多くの国民が強いコロナ免疫を持てた。そうして第5波の収束時には全国の1日の感染者数が2桁台にまで激減し、たった2か月ほどでしたが世界で唯一、日本が集団免疫のようなものを獲得していた状態でした。
ところが、その後第6波となったオミクロン株は感染力が強く、ウイルスの増殖も早く、潜伏期は短い。加えて、ワクチンを打って時間が経った高齢者に3回目の接種が間に合わないところもあって、高齢者施設でクラスターが多く発生しました。第6波は飲食店が感染拡大の起点となるよりも、施設や職場、学校、家庭内などで広がっているので、感染の高止まり、リバウンドが心配です」(以下、「」内はすべて岡田氏)
軽症と言われたオミクロン株だが、死者数はコロナ禍で最多となる200人を超える日が続いた。都内の感染者数は3533人、全国で2万231人(3月22日時点)。2020年に初めて緊急事態宣言が発出された「第1波」で全国700人台だったピーク時よりもはるかに感染者数が多い状態だ。
第6波の収束が見えないなかでの「まん防」解除について、政府は3月11日に開いた新型コロナウイルス感染症対策分科会で、「病床使用率や重症病床使用率が50%を超えていても、新規感染者数が減少傾向で医療への負荷が低下する見込み」であれば可能とする新基準案を提示していた。
「この『まん防』が、基準を緩和までして解除されたということを、国民はわかっているのでしょうか。経済を動かさないといけない現状で『まん防』を解除すること自体は否定しませんが、それならばセットで対応が行なわれるべきです。解除が出口戦略の一つならば、追加の感染症対策をどうとるのかが重要です」
奇しくも職場や学校などは年度替わりを迎えるタイミングだ。季節柄、花見などの行楽も盛んになり、人の動きが活性化する。まだまだ油断は出来ない。
※週刊ポスト2022年4月8・15日号