国内

吉村洋文・大阪府知事が呼びかけた防護ガウン代わりの雨合羽「在庫は5万着」

2020年8月のイソジンに関する会見(時事通信フォト)

2020年8月イソジンに関する会見でも波紋が…(時事通信フォト)

 全国でもっとも感染者が多かった大阪府も、ようやくまん延防止等重点措置(まん防)解除にこぎつけた。だが、振り返れば吉村洋文・知事(46)のコロナ対応は、出だしから失策続きだった。

「ポビドンヨードでうがいをすると、新型コロナウイルスの陽性率が減少する」

 2年前の8月に行なった有名な「イソジン会見」はすぐ撤回。吉村氏と研究責任者の松山晃文・医師との打ち合わせに同席していた大阪府立病院機構の遠山正彌・理事長に経緯を聞いた。

「吉村さんは人の意見によく耳を傾けてくれるしっかりした人。松山先生の示した初期のデータと当時の感染拡大具合を見て、うがいの励行を広く広報したほうが良いのでは、という思いを私も持っていました。ただ、あの会見では吉村さんのサービス精神が前に出過ぎてしまった。松山先生は相当心にダメージを受けておられます。吉村さんも松山先生には非常に申し訳ないことをしたという気持ちをお持ちのようです」

 会見の根拠となったポビドンヨードの効果の研究結果は「順調にいけば今年の5月から6月には論文化されると思います」(遠山氏)と語る。

 吉村氏が「大阪ワクチン」と呼び、20万人に打つとアピールしていた製薬ベンチャー・アンジェスの国産第1号ワクチン開発も、治験で十分な効果が得られなかったことから、同社は2021年末に最終段階の治験を断念した。

 忘れてはならないのが「雨合羽」の後始末だ。

 吉村氏は感染拡大で医療機関などの防護ガウンが不足したことから、2020年4月、松井氏とともに雨合羽の供出を呼びかけたものの、30万枚以上が倉庫に積み上がった。

 大阪市福祉保健局は「希望者に配布を続け、今年2月下旬にはすべて配布し終わった」(総務課)と説明するが、民間からの寄附分とは別に、大阪府が約2000万円をかけて21万6700着の雨合羽を購入、大量に余ったことも明らかになっている。その在庫はどうなったのか。

 大阪府の健康医療部保健医療室感染症対策企画課はこう説明する。

「学校でクラスターが発生した時の消毒作業の作業着などの用途で教育委員会や府内の様々な施設に配布して、現在は残り5万着くらいになっています。配布費用は府が負担しています」

 府民の税金で買った無用な雨合羽を税金で配っていたのだ。これでは「アベノマスク」の大阪版ではないか。

※週刊ポスト2022年4月8・15日号

関連記事

トピックス

「複数の刺し傷があった」被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと、手柄さんが見つかった自宅マンション
「ダンスをやっていて活発な人気者」「男の子にも好かれていたんじゃないかな」手柄玲奈さん(15)刺殺で同級生が涙の証言【さいたま市・女子高生刺殺】
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場(時事通信フォト)
「日本人は並ぶことに生きがいを感じている…」大阪・関西万博が開幕するも米国の掲示板サイトで辛辣コメント…訪日観光客に聞いた“万博に行かない理由”
NEWSポストセブン
ファンから心配の声が相次ぐジャスティン・ビーバー(dpa/時事通信フォト)
《ハイ状態では…?》ジャスティン・ビーバー(31)が投稿した家を燃やすアニメ動画で騒然、激変ビジュアルや相次ぐ“奇行”に心配する声続出
NEWSポストセブン
NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」で初の朝ドラ出演を果たしたソニン(時事通信フォト)
《朝ドラ初出演のソニン(42)》「毎日涙と鼻血が…」裸エプロンCDジャケットと陵辱される女子高生役を経て再ブレイクを果たした“並々ならぬプロ意識”と“ハチキン根性”
NEWSポストセブン
4月14日夜、さいたま市桜区のマンションで女子高校生の手柄玲奈さん(15)が刺殺された
「血だらけで逃げようとしたのか…」手柄玲奈さん(15)刺殺現場に残っていた“1キロ以上続く血痕”と住民が聞いた「この辺りで聞いたことのない声」【さいたま市・女子高生刺殺】
NEWSポストセブン
山口組も大谷のプレーに関心を寄せているようだ(司組長の写真は時事通信)
〈山口組が大谷翔平を「日本人の誇り」と称賛〉機関紙で見せた司忍組長の「銀色着物姿」 83歳のお祝いに届いた大量の胡蝶蘭
NEWSポストセブン
20年ぶりの万博で”桜”のリンクコーデを披露された天皇皇后両陛下(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
皇后雅子さまが大阪・関西万博の開幕日にご登場 20年ぶりの万博で見せられた晴れやかな笑顔と”桜”のリンクコーデ
NEWSポストセブン
朝ドラ『あんぱん』に出演中の竹野内豊
【朝ドラ『あんぱん』でも好演】時代に合わせてアップデートする竹野内豊、癒しと信頼を感じさせ、好感度も信頼度もバツグン
女性セブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
《実兄が夜空の下で独白》騒動後に中居正広氏が送った“2言だけのメール文面”と、性暴力が認定された弟への“揺るぎない信頼”「趣味が合うんだよね、ヤンキーに憧れた世代だから」
NEWSポストセブン
高校時代の広末涼子。歌手デビューした年に紅白出場(1997年撮影)
《事故直前にヒロスエでーす》広末涼子さんに見られた“奇行”にフィフィが感じる「当時の“芸能界”という異常な環境」「世間から要請されたプレッシャー」
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下は秋篠宮ご夫妻とともに会場内を視察された(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
《藤原紀香が出迎え》皇后雅子さま、大阪・関西万博をご視察 “アクティブ”イメージのブルーグレーのパンツススーツ姿 
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン