3月27日に千秋楽を迎えた大相撲春場所。3年ぶりとなる大阪での有観客開催だったが、コロナ禍を経て相撲観戦は大きく様変わりした。観客は館内では常時マスクを着用し、アルコール類の提供はなく、持ち込みも禁止されている。水分の補給以外の飲食はできず、大声での応援もNG。応援タオルを掲げ、熱戦には拍手で称えるのが応援ルールとなっている。かつては相撲観戦の“名物”だった、「座布団が舞う」という光景も、なかなか見られなくなりそうだ。
今回の春場所の観客上限は定員の75%以内となる5600人だった。溜席とイス席は詰め込んで座るかたちとなったが、4人席の桝席は2人で使用された。そのため桝席では足を延ばし、のんびりと観戦しているように見えた。
「千秋楽では2敗で並んでいた若隆景と高安がともに本割で敗れる波乱の展開となった。優勝決定戦では両力士が激しい攻防の末、土俵際まで追い込まれた若隆景が逆転の上手出し投げで逆転勝利。館内には大拍手が響き渡った。
これまでなら座布団が飛び交ってもいいところだが、桝席に座る観客は足を延ばして座布団の上に座ったままで、投げるなんてこと思いつかないといった様子だった。アルコールが入っていないことも影響したのか、座布団が1枚も舞うことはなく大きな拍手だけが続いていました」(担当記者)
ただ、優勝を決めた若隆景が賜杯を受け取るなどした表彰式の後、手打ち式と神送りの儀式で15日間の全日程を終えると、館内では一斉に座布団が飛び交った。館内の片づけに際しての一場面である。