「二十歳という節目を無事に迎えることができましたことを嬉しく思っております」
若草色のツーピースにパールのネックレスという落ち着いた大人の装い。マイクの前に座られた天皇家の長女・愛子さまの表情は自信に満ちあふれていた。
3月17日、皇居・御所で愛子さまの初めての記者会見が行われた。冒頭、愛子さまは前日に福島県沖で発生した地震の被災者を労い、亡くなったかたへ哀悼の意を捧げられた。上皇ご夫妻や天皇皇后両陛下が最も大切にされてきた、困難を抱える国民に寄り添うという心をしっかりと受け継いでいることを示された。その後はやや緊張されながらも、笑顔やユーモアを交えて、現在の心境をご自分の言葉で丁寧に語られた。
「小さい頃から人見知りのところがございますので、これから頑張って克服することができればと思います」
その言葉に、学習院初等科・中等科時代に直面した壁が思い起こされ、胸が熱くなった人も多いはずだ。両陛下や上皇ご夫妻への感謝の気持ち、成年皇族としての抱負をゆっくりと、噛み締めるように語られた愛子さま。最も力を込められたのは、皇室のあり方についてのこんなご発言だった。
「上皇陛下が折に触れておっしゃっていて、天皇陛下にも受け継がれている、『皇室は国民の幸福を常に願い、国民と苦楽を共にしながら務めを果たす』ということが基本であり、最も大切にすべき精神であると私は認識しております」
真摯な口調で語られたこの言葉は、天皇家の娘という運命を受け入れ、国民とともに歩むという決意表明にほかならない。
昨年12月1日、20才のお誕生日を迎えられた愛子さまは淡いメイクの近影とともに、文書で「ご感想」を発表した。
「これからは成年皇族の一員として、一つ一つのお務めに真摯に向き合い、できる限り両陛下をお助けしていきたいと考えております。そして、日頃から思いやりと感謝の気持ちを忘れず、小さな喜びを大切にしながら自分を磨き、人の役に立つことのできる大人に成長できますよう、一歩一歩進んでまいりたいと思います」
同月5日には成年行事に臨み、正装であるローブ・デコルテに身を包まれた。叔母の黒田清子さん(紀宮さま)から借り受けられたティアラを戴き、颯爽とカメラの前に立たれた愛子さまのお姿には、多くの国民がため息を漏らしたはずだ。『皇室の窓』(テレビ東京系)の放送作家で、愛子さまの生誕時から成長を見守ってきた、つげのり子さんが目を細める。
「愛子さまの立派なご感想に、涙が出そうになりました。『両陛下をお助けしたい』『感謝の気持ちを忘れず』というお言葉は、心の底から出てきたのだと思います。だから、多くの人の心を打ったのでしょう」