最大36都道府県に及んだ「まん延防止等重点措置」が3月21日に解除され、「もう大丈夫」という空気が漂っている。しかし全国の感染者数はいまだ数万人に及び、テレビなどで新型コロナの解説を続ける白鴎大学教授の岡田晴恵氏は、「第6波は終わっていません」と警鐘を鳴らす。
岡田氏は第6波を乗り越える方法として「PCR検査の拡大と十分な抗原検査キットの確保」「保健所の機能強化」「大規模集約医療施設の設置」をあげ、3つの柱に加えて、「治療薬」と「ワクチン」の5つが揃ってはじめて出口戦略が可能になるという。
「治療薬が承認されたことなどが報じられますが、検査して、陽性と診断されないと治療が開始できません。確保できる治療薬の量の問題もありますし、そもそも検査と医療体制が足りないなら、ありつけないでしょう」(以下「」内はすべて岡田氏)
国内では3回目接種が進み、5歳から11歳の子供のワクチン接種も開始している。
「皆さんが3回目のワクチンを粛々と打たれていますし、私も3回目接種を済ませました。4回目接種の話も出てきていますが、ここは回数よりも中身が大事と思っています。
ヨーロッパではオミクロン株のワクチンも出ていますが、日本で今打っているワクチンは武漢のウイルスに由来したワクチンです。回数ばかり言われていますが、それよりもオミクロン株に対応した最新のワクチンを国民に確保していただきたいと思います。もちろん、現行のワクチンでも打ったほうがいいとは思いますが、4回目には新しいウイルス株のワクチンが望ましい。また、長期的なデータもないので、お子さんの接種は慎重にと思います」
これらの対策をせずに、感染者数が増えると、結局行き着く先はまた自粛、まん防、緊急事態宣言と繰り返し、経済が萎縮することになってしまう。目の前には「ステルスオミクロン」と呼ばれるオミクロンの変異株「BA.2」の存在も無視できなくなっている。
「想定よりもゆっくりではありますが、4月上旬に入れ替わると想定されています。感染力はより強くなっています。そうなると個人の感染防御では極めて難しい。同時に経済の停滞が厳しい状況もあるからこそ、これまで述べたような対策や備えと抱き合わせにして、経済を回すことが必要なのです。
冷静かつ客観的に見て、世界中の流行状況から、これからまた新しい変異株が出る可能性は十分にあります。オミクロンが最後だとは私は思っていません。だからこそ、対策と抱き合わせでないと、“ウィズコロナ”にならないのです」
※週刊ポスト2022年4月8・15日号