「私、失敗しないので」「財前教授の総回診です」。華やかで権威ある外科病棟は、これまで何度もドラマや小説の舞台となってきた、間違いなく第一線の医療現場だ。しかしそこで施される治療は、必ずしも正しいとは限らない。メスを握る彼らが、「受けたくない」手術とは。外科治療に携わる現役医師たちが本音を語る。
【座談会に参加してくれた現役医師4名のプロフィール】
A夫(50才):大学病院の整形外科医。骨折から腰痛まで幅広く治療を行う。
B美(42才):総合病院の一般外科医。過去にがんの手術を多く経験している。
C男(57才):総合病院の消化器外科医。内視鏡手術を得意分野とする。
D太郎(46才):眼科クリニック院長。総合病院勤務の後、5年前に開業。
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日進月歩の医学界で、外科手術においても次々に新しい技術が生まれているが、実際に使う立場にある現役医師たちはそれらの多くに懐疑的だ。
B美:「脳ドックを受けたら、未破裂の脳動脈瘤が見つかったから、手術で切除してほしい」という患者さんが少なからずいるのですが、私なら受けません。確かに、破裂してくも膜下出血を起こすのではないかと心配になる気持ちはわかりますが、その確率は1%未満。急いで手術をする必要はないんです。
そもそも脳ドックがこんなに浸透しているのは日本ぐらい。海外ではほとんど行われない検査です。“病気の芽”を発見してしまえば少なからずストレスを感じますし、だからといって手術を受ければ合併症を引き起こす危険もあることも気がかりです。