ガソリン、日用品、食料品から電気代まで物価上昇ばかりが取り沙汰されるなかで、耳を疑うような話が──。4月から、衆院議員とその家族が住む衆院赤坂議員宿舎の家賃が、値下げされることが決定したのだ。現在の月額13万8066円が12万4652円になるという。
赤坂議員宿舎といえば、港区赤坂の“超一等地”にある地上28階、地下2階建てのタワーマンションで、3LDK(82平米)の間取りが300戸ある。
これまでも周辺の相場からかけ離れた家賃設定が物議を醸し、2007年4月の入居開始時の家賃は月額9万2213円、2012年度には8万4291円になったが、2017年度に11万8106円、2020年度に13万8085円と変遷した。
今回、1割近く値下げする理由について衆議院事務局はこう答えた。
「国家公務員宿舎法に基づいて、建設からの経過年数によって使用料が変更されると規定で決まっているもので、今回は15年が経つため減額されることになりました」(広報課)
そうはいっても、コロナ禍で国民生活が冷え込むなかで理解を得られるものではなく、批判の声があがっている。住宅評論家の櫻井幸雄氏が語る。
「地価やマンション価格は2013年ごろから上昇し、東京五輪以降も加速している状況です。特に都内では千代田区、港区、中央区の値上がりが著しく、なかでも山手線の内側の中心にある港区の赤坂や青山のマンション価格は1.5~2倍、家賃も1.5倍は上がっています。
都心の一等地では建物が古くなっても、地価が上がればむしろ家賃も上がるケースのほうが多い。赤坂議員宿舎のすぐそばにある築14年のタワーマンションは、2LDKでも家賃は50万円前後。それが築15年になるからと議員宿舎の家賃が12万円台になるというのは時代錯誤で、民間からすればあまりにおかしな論理で決まっているとしか言いようがないです」
ちなみに、赤坂議員宿舎には「食堂、4つの会議室、最上階の28階には集合室が2部屋あり、医務室や医療サービス提供業務として看護師が常駐しています」(前出・広報課)という。
やはり“上級国民”とは、国会議員のことだったのかもしれない。
※週刊ポスト2022年4月8・15日号