高見泰地四段(同、現・七段)から賞状を受け取る藤井聡太少年
参加児童たちと盤を囲み、楽しげに談笑する藤井聡太少年
奨励会に入る前までは、対局で負けると涙を見せていたという
賞状を掲げて弾けるような笑顔を見せた
とにかく将棋が大好きな藤井少年とそんな息子を静かに応援する母親には、こんな微笑ましい場面もあったという。
「2012年に大阪で詰め将棋解答選手権が開催された際、私の知人が『せっかくだから朝イチに行って一番に受け付けがしたい』とかなり早くに家を出て、開場の1時間前に現場に到着した。そうしたら、それよりも早く来て並んでいる親子がいたんです。お母さんの隣に立っている男の子は、ずっとニコニコしながら詰め将棋を解いていた。それが、藤井親子だった。藤井さんのお母さんは、『聡太くんのためなら』と全国のいろいろな大会に連れて行くなど、熱心にサポートされていましたね」(勝又七段)
2016年に愛知県岡崎市で開催された『岡崎将棋祭り』で公開対局に奨励会三段時代の藤井少年が挑んだ際には、「緊張のためか舞台上での藤井さんの歩き方が少しぎこちなかったため、舞台近くの席に座って見ていたお母さんがジェスチャーで『ちゃんとしっかり歩きなさい』と合図していた」(勝又七段)というエピソードも。
「対局で遠征が必要なときは、東京で単身赴任していたお父さんのところに泊まっていたこともあるようです。家族全体で藤井さんをバックアップし、小さい頃から彼のためになることはなんでもやってきたのでしょう」(勝又七段)
いまや天才棋士として恐れられる藤井竜王。記録を塗り替える数々の伝説が生まれたのは、彼自身の努力もさることながら、家族の支えあってのものだった。