ウクライナ侵攻を続けるロシア軍が首都・キーウ(キエフ)から撤退したと報じられた。今後はウクライナ東部への部隊の投入を進めているとみられるが、この方向転換はプーチン大統領にとって想定外の事態だったと見方が多い。『プーチン 最後の聖戦』などの著書がある国際関係アナリスト・北野幸伯氏が語る。
「ウクライナ軍が健闘している理由は主に4つあります。一つ目は、ゼレンスキー大統領が逃亡しなかったこと。二つ目は、ウクライナ軍の士気の高さとロシア軍の士気の低さ。ウクライナ軍には、家族や同胞、母国を守るという絶対的正義がありますが、大義名分のないロシア軍は、命令系統の混乱もあって士気低下が著しい。三つ目は、欧米からの武器支援。特に携帯用対戦車ミサイル『ジャベリン』、携帯用地対空ミサイル『スティンガー』、軍事用ドローンの三つの武器がロシア軍を苦しめています。四つ目は、欧米からの軍事情報。ウクライナ軍は、米英軍から位置情報を与えられているようで、それによって効果的な奇襲をかけることができています」
解放されたキーウ近郊の街で、ロシア軍による一般市民の虐殺が明るみに出たことを受け、欧米を中心にプーチン氏の「戦争犯罪」を追及する声が高まっている。窮地のプーチン氏にとって、敵はウクライナや国際社会だけではない。3月20日、ウクライナ国防省情報総局の公式フェイスブックは、ロシアのエリート層が毒殺や突然死などの方法でプーチン氏の「暗殺計画」を考えていると投稿した。
内憂外患に陥っているプーチン氏の今後について、ロシアに詳しい筑波学院大学教授の中村逸郎氏はこう語る。