国内

【特集1982年】車やカメラの大衆化、CDの登場 大量消費社会の流行最前線

4月1日に五百円紙幣に代わり、五百円硬貨が登場(時事通信フォト)

4月1日に五百円紙幣に代わり、五百円硬貨が登場(時事通信フォト)

 日本が「バブル経済」を迎える1985年の少し前。いまから40年前の1982年は、未曽有の好景気を予感させる文化の隆盛を見せていた。一体どんな時代だったのか。

アイドル文化隆盛! 若者が時代を牽引

 内閣府の『高齢社会白書』(2020年)によると、1980年の15〜64才人口は約67%(2020年は約59%)で、高齢化率は約9%(2020年は約29%)。1980年代初頭の日本は、働き盛りの若い世代が時代を牽引していたことがわかる。

「1982年の大きな特徴は、若者を対象にした音楽、映画が続々と登場したことです」

 とは、ポップカルチャーに詳しい、レコード収集家の鈴木啓之さんだ。

 シブがき隊、小泉今日子、中森明菜などのアイドルが多数デビューし、「花の82年組」と呼ばれた。

「それ以前の若者は、学生運動など、社会や権力に抵抗する活動をしてきました。しかし、1980年代に入ると、便利で豊かな生活を求め、消費社会に。若い人は、新しくてカッコいいものに飛びつくようになったのです」(鈴木さん)

 アイドル文化の隆盛もその一端だ。では具体的に何がどう人々を魅了したのか、振り返ってみよう。

一台のテレビを家族で見ていた最後の時代

「1982年はテレビの影響力が強かった時代といえます」

 とは、前出の鈴木啓之さん。

「多くの家にテレビが普及したものの、まだ一家に一台。録画のできるビデオテープレコーダーもありましたが、まだ高級品だったため、テレビは家族そろって、リアルタイムで見るという視聴スタイルが主流でした」(鈴木さん・以下同)

 そのため、歌番組は全世代が楽しめることを意識して、歌手や曲を選び、放送していたという。若い世代には松田聖子の『赤いスイートピー』をはじめ、アイドルによるポップミュージックを、大人世代には細川たかしの『北酒場』をはじめとする演歌を、と同番組内で多世代の曲を流していたため、ヒット曲はすべての世代が口ずさめた。

「歌番組以外で人気を博したのは“明るい”内容。家族で見て笑える番組が求められました」

 当時、特に人気を博したのは、《楽しくなければテレビじゃない》をスローガンに掲げたフジテレビのお笑い番組。『THE MANZAI』『オレたちひょうきん族』『森田一義アワー 笑っていいとも!』は、1982年の『年間視聴率三冠王』の獲得に貢献したという。

 1982年以降は、ビデオテープレコーダーが普及していき、テレビは家族で見るものから、好きなものを録画して後で見る、というスタイルになっていく。さらに、1983年に任天堂から「ファミリーコンピュータ」が登場すると、子供部屋にもテレビが置かれるようになり、個別視聴の時代を迎える。

「この年は、“大衆”が存在した最後の時代かもしれません」

関連キーワード

関連記事

トピックス

24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
新大関の安青錦(写真/共同通信社)
《里帰りは叶わぬまま》新大関・安青錦、母国ウクライナへの複雑な思い 3才上の兄は今なお戦禍での生活、国際電話での優勝報告に、ドイツで暮らす両親は涙 
女性セブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《24歳の誕生日写真公開》愛子さま、ラオス訪問の準備進めるお姿 ハイネックにVネックを合わせて顔まわりをすっきりした印象に
NEWSポストセブン
韓国・漢拏山国立公園を訪れいてた中黒人観光客のマナーに批判が殺到した(漢拏山国立公園のHPより)
《スタバで焼酎&チキンも物議》中国人観光客が韓国の世界遺産で排泄行為…“衝撃の写真”が拡散 専門家は衛生文化の影響を指摘「IKEAのゴミ箱でする姿も見ました」
NEWSポストセブン
リ・グァンホ容疑者
《拷問動画で主犯格逮捕》“闇バイト”をした韓国の大学生が拷問でショック死「電気ショックや殴打」「全身がアザだらけで真っ黒に」…リ・グァンホ容疑者の“壮絶犯罪手口”
NEWSポストセブン
渡邊渚アナのエッセイ連載『ひたむきに咲く』
「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われている」 渡邊渚さんが「日本で多発する性的搾取」について思うこと
NEWSポストセブン
“ミヤコレ”の愛称で親しまれる都プロにスキャンダル報道(gettyimages)
《顔を伏せて恥ずかしそうに…》“コーチの股間タッチ”報道で謝罪の都玲華(21)、「サバい〜」SNSに投稿していた親密ショット…「両親を悲しませることはできない」原点に立ち返る“親子二人三脚の日々”
NEWSポストセブン
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン