平成から令和への御代がわりにともなって、2020年3月から仙洞仮御所(東京・港区)に“仮住まい”されている上皇ご夫妻の引っ越しが迫っている。
ご夫妻は4月中旬に宮内庁が管理する施設に一時的に移られ、引っ越し作業が済み次第、赤坂御用地(東京・港区)内にある仙洞御所(旧・東宮御所)に移られる予定だ。皇太子時代を過ごされた思い出が詰まった邸宅でGWを迎える見通し。これをもって、御代がわりにともなう、天皇ご一家も含めた一連の引っ越し作業が完了する。
引っ越しを控えた4月2日、仙洞仮御所周辺では、満開の桜と晴天のもと「高松桜まつり」が開かれた。コロナ渦の影響もあり2年連続で中止されていたが、今年は規模を縮小し開催。目玉は、地元にある東海大学付属高輪台高校の吹奏楽部による演奏だった。沿道には多くの人が集まり、生徒たちが奏でる調和のとれた演奏に聞き入った。
「吹奏楽部は全国大会に何回も出場したことのある実力校です。50人以上の部員が2つのグループに分かれ、周辺の大通りを演奏しながら行進。仙洞仮御所のすぐ横の遊歩道でも演奏しました」(同校関係者)
演奏は14時ぴったりにスタート。校旗を掲げた3人の生徒を先頭に、ドラムメジャーの指揮に合わせ、赤いトップスと黒いパンツのおそろいのユニフォームに身を包んだ生徒たちは、『YMCA』などを演奏しながら足並みを揃えて進んだ。
仙洞仮御所の塀に面した場所まで来ると、演奏を一旦ストップし生徒たちは整列。仙洞仮御所のほうを向き、校旗を塀の内側にも見えるように高く上げ、吹奏楽の代表的なマーチ『アルセナール』を演奏した。
桜まつりの関係者が明かす。
「実は、桜まつり開催にあたって町内会から、“お騒がせするかもしれません”と宮内庁側にお話ししていたんです。すると、“きっと上皇ご夫妻は演奏をお聴きになると思います”ということでした。
敷地内にいらっしゃるご夫妻に少しでも大きく、いい音を届けようと、生徒さんたちは懸命に演奏しました。上皇ご夫妻が聞いてくださったことは、生徒さんたちの大きな励みになったと思います」
直接の交流が難しいコロナ禍での、未来ある若者からの引っ越し直前の生演奏のプレゼント。上皇ご夫妻は高校生のパワフルな演奏に、仙洞仮御所の敷地から大きな拍手を送られたことだろう。