航空会社のANA(全日本空輸)などを傘下にもつANAホールディングスの新社長に、代表取締役専務執行役員だった芝田浩二氏(64)が4月1日付で就任した。コロナ禍とウクライナ危機による向かい風を受けるなかでANAホールディングスを率いることになった新社長が自身のこれまでのキャリアで印象深かった経験を振り返った。
東京外国語大学に進学し、在学中に北京の日本大使館に勤務した経験もある芝田氏。4月8日発売の本誌・週刊ポストでは、コロナで大打撃を受けた企業の復活への取り組みを特集し、そのなかで芝田氏がインタビューに応じた。取材現場では、入社後の自身のキャリアについて「ずっと何かしら国際線に関わるような仕事をやってきた」と振り返った。
「1983年から1990年まで営業本部国際部に所属していたのですが、自分にとってそこでの7年間は非常に思い出に残る時代でしたね。国際定期便を飛ばす前の下ごしらえなどをやっている部署なんですが、チャーター便で起きるいろんな課題を1つ1つ解決していくのが主な仕事でした。
1986年にはワシントンD.C.への定期便の就航が始まったわけですけれども、その時は実際にワシントンに出向いて支店の設営を現地の人と一緒にやりましたね。事務仕事だけではなく、本当にフィジカルな仕事を2か月ぐらい、やらせてもらったりもしました」
その翌年の1987年にANAは、中国路線の就航を開始した。
「前年の1986年から、定期便の就航に向けて着々と準備を進めておりました。当時、中国の副首相だった李鵬さんのところにも、弊社は陳情に行ったりしているんですよね。そのときも通訳兼事務方として同行しました。会談の様子や内容について、今日はこうだったとか、細かな点まで毎日レポートを書いていました」(芝田氏)