4月6日、アイドルグループ・おニャン子クラブの元メンバーでタレントの生稲晃子氏(53)が自民党本部で記者会見を行ない、今夏の参院選で東京選挙区(定数6)から立候補することを表明した。いわゆる“タレント候補”として、都市部の浮動票獲得を狙う戦略とみられるが、果たして勝算はあるのか──。
生稲氏は会見で、乳がんを患った経験などを踏まえ、「国会議員になって、病気と仕事、子育てを両立してきた自分の経験を政策や法律、予算に反映させられれば」と出馬に至る思いを述べた。これまでに生稲氏は、政府の「働き方改革実現会議」の民間議員も務めた経験がある。
今回の参院選に向けては、東京選挙区から選出されていた現職の中川雅治・元環境相(75)が引退の意向を示しており、自民党は後任候補の選定を急いでいた。そうしたなかで、白羽の矢が立ったということのようだ。
生稲氏は会見で「(出産や子育てなど)普通の生活をしてきたからこそ、わかることがあると思う」などとも語り、自身が政治家を志すことに意味があると強調した。自民党関係者からは「知名度からして当選は確実だろう」と楽観視する声も聞こえてくるが、そう甘いものではなさそうだ。ベテラン政治ジャーナリストが言う。
「参院東京選挙区で自民党は、定数が6に増えた2016年に中川氏と朝日健太郎氏(46)、2019年には丸川珠代氏(51)と武見敬三氏(70)が当選している。“6議席のうち2議席”が取れているかたちだが、これは基礎票の棲み分けができた結果と言える。2019年の当選組で言えば、元テレビ朝日アナウンサーの丸川氏が浮動票を狙い、日本医師会会長だった故・武見太郎氏を父に持つ武見敬三氏が医師会をバックにした組織票をベースとして当選を目指すという分担だった。