昨秋の就任発表以来、明るい話題を振りまき続けた日本ハムの“BIGBOSS”こと新庄剛志監督だが、開幕後のチームは低迷。ここまでの新庄・日本ハムの戦いぶりを見て、今後にも不安を感じている専門家は少なくない。
現役時代は中日、西鉄、巨人で活躍し、97敗した楽天1年目に編成部長として当時の田尾安志監督を支えた広野功氏は、「当時の楽天と今年の日本ハムは当然、戦力のレベルが違う」としながらも、“新庄采配”について不安を口にした。
「監督の采配というのは、試合中だけでなく、シーズン全体を通してどのように戦うかというマネジメント面まで含まれる。たとえば、先発投手のローテーションをどう組むか。優勝を狙うなら相手のエースを潰すためにこちらもエースをぶつけるが、勝率5割を狙うならエース対決を避けて、2戦目に投入する。勝率5割でAクラスですからね。しかし、新庄監督はそういう考え方ができているのか疑問です」
たしかに開幕戦はドラフト8位の新人・北山亘基を先発させ、昨季10勝の伊藤大海を中継ぎに回すなど、“独特すぎる投手起用”で注目を集めた。
「あんな戦い方で143試合戦えるのか。毎試合撃沈ですよ。野球のチームは監督だけが考えるのではダメ。監督が自分の考えを述べるのは当然だが、コーチや編成担当のスタッフが意見をしないといけない。さすがに開幕戦後はコーチ陣から先発・中継ぎ・抑えを確立しないと1年もたないといった意見が出たはず。その議論がない組織だとすれば、かなり危険だと思う」(広野氏)
東京五輪代表の侍ジャパンにも選出された近藤健介が下位打線に回されたり、ベンチスタートになったりすることにも、広野氏は首をかしげる。
「近藤はバットコントロールがうまく、どんなピッチャーでも対応できる。チームの中心に置くべき選手です。しかし、今の日本ハムではそうなっていない。監督は1年目でこれまでを見ていないのだから、コーチがしっかりと意見を言わないと。開幕しても猫の目打線では、キャンプやオープン戦で何をやっていたのかという話になる」
ピッチングコーチらが投手陣の役割分担を考え、バッティングコーチらが打順の組み方の案を練る。それらをもとに戦い方を議論するという当たり前のことができていないとする指摘である。
「早く首脳陣が正常な機能に戻らないと手遅れになってしまう。コーチたちはケンカしてでも言うべきなんです。新庄監督ばかりが目立っているようでは組織としてダメ。修正できるかは5球団と一通り対戦した15試合終了時点のあたりがギリギリでしょう。今の戦い方を見ていると非常に危険。交流戦までこのままなら、間違いなく内部分裂をするでしょうね」(広野氏)
※週刊ポスト2022年4月22日号