スーパー戦隊シリーズの46作目「暴太郎(あばたろう)戦隊ドンブラザーズ」(テレビ朝日系)が話題を呼んでいる。昔話『桃太郎』をモチーフにした作品で、主人公のドンモモタロウが、仲間とともに人間の消去をもくろむ敵に立ち向かうストーリー。時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが驚きのその内容を解説する。
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長年、時代劇研究家を名乗っている私は、画面に出てくる「ちょんまげ」には、激しく反応してしまう癖があるが、その意味で久しぶりに「おお」と驚いたのが、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』である。
その主人公、桃井タロウが変身したドンモモタロウの頭上には、真っ赤なちょんまげが! …というか、正確には「ちょんまげに見えるもの」があるのである。ナイスなヒーロー登場と喜んでいたが、実際はそれどころじゃない。毎回、驚きの連続だ。
一番驚くのは、戦隊がちっともまとまっていないこと。タイトルの「ドンブラ」をきいただけで、多くの人が「これは桃太郎がモチーフ」と察すると思う。ということは、戦隊のメンバーは、犬、猿、雉で、桃太郎のお供としてチームワークはバッチリかと思いきや、みんなてんでバラバラなのだ。
そもそもの始まりは、21年前、謎の男・桃井陣(和田聰宏)がどんぶらこと川を流れてきた桃型カプセルから、赤子を拾ったこと。成長した桃井タロウ(樋口幸平)は、シロクマ宅配便に勤務中。やたらハイテンションのタロウは、配達した相手に「これであんたと俺は縁ができた!」「おれは幸福を運ぶ」と言い放つ。正直者で能力は高いが空気は読まない男。