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ホテル業界のコロナ禍からの反転攻勢 インバウンドから国内需要に大転換

様々なニーズを組みとろうと独自プランを打ち出すホテルも

様々なニーズを組みとろうと独自プランを打ち出すホテルも

 コロナ禍によって大きな打撃を受けたのが、全国に多数点在し、施設維持費や人件費もかかる「ホテル」業界だ。コロナ前は外国人観光客によるインバウンドの恩恵で活況を呈した上に、2020年の東京五輪に向けて「客室不足」が指摘され、大手チェーンを中心に新規開業がどんどん進められていた。それがコロナ禍で水泡に帰した。

 海外からはもちろん国内の観光客数も激減。観光庁の統計によると、国内及び海外からの宿泊者数は2020年5月にマイナス85%(2019年同月比)を記録するなど一気に落ち込み、2021年は年間で同5割減(2019年比)だった。

 経営維持のために60~80%が必要とされる客室稼働率は軒並み低下。力尽き倒産するホテルは多く、東京商工リサーチの調査によると2020年、2021年に倒産した宿泊業は合わせて200件超。大半がコロナ禍による「販売不振」を原因としている。

「厳しかったですね。一番大変な時は前期比で売り上げが8~9割減ということもありました」

 そうコロナ発生当時を振り返るのは、「星のや京都」の前支配人で、星野リゾートの都市ホテル「OMO(おも)」京都総支配人の唐澤武彦氏だ。

 とはいえ、苦境にただ喘いでいたわけではない。海外からの客がいなくなり、国内観光客も激減した状況を乗り越えるために、感染防止と地域経済を両立する「マイクロツーリズム(自宅から1~2時間以内の旅行)」の推奨へと転換を図った。

「例えば星のや京都は首都圏からのお客さまが多かったのですが、コロナ禍で集客は難しい。そこで大阪や兵庫など近隣からのお客さま獲得にシフトしました」(唐澤氏)

 グループとしては日本全体を11の商圏に分け、ホテルが立地するエリア内に絞った宣伝活動を行なって集客したという。

「地方紙などの地元媒体に特化して特別な価格帯での宿泊プランをご案内したほか、ネットでも都道府県名を入力しないと情報が見られないなど、あえてエリア外の方に対してクローズドになるようにお値引き情報を提供しました」(唐澤氏)

 料理では地元食材を使うだけでは近隣県からの客へのウリにならないため、調理法を大胆にアレンジするなど工夫を重ねた。その結果、2020年夏頃には危機を脱するまでに客足が戻ったという。

「以前はインバウンドで埋まっていた需要がマイクロツーリズムに入れ替わった印象です」(唐澤氏)

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