江戸時代から「水の都」として発展してきた東京には、かつて川や用水路だった暗渠が無数にある。暗渠研究の第一人者・本田創さんが案内人となり、元SKE48でフリーアナウンサーの柴田阿弥さんと初心者向けの暗渠ルートを歩いた。
出発地は、高層ビル街から程近い西新宿5丁目の神田川合流口の上。本田さんが説明する。
「ここから暗渠を遡ります。当時川に架かっていた40本余の橋のうち、橋跡が14本残っています。遺構や地形から浮かび上がる当時の生活に思いを馳せ、本来あったはずの風景を想像しながら歩くと楽しいですよ」
かつて杉並区から世田谷区、渋谷区、新宿区まで約4kmにわたって流れていた神田川支流(玉川上水幡ヶ谷分水)は西新宿で神田川に合流していたが、1960年代半ばに暗渠化された。昭和の雰囲気が残る柳橋に差し掛かると、柴田さんが驚きの声を上げた。
「都心にこんな場所があるなんて! なぜか懐かしくなります。歩いている場所が昔は川だったと思うと、目線が変わりますね」
ゴールは、源流付近に位置する杉並区の「沖縄タウン」(杉並和泉明店街)。
「古地図と現在地を比べながら歩いて川の痕跡を発見するのは、冒険しているようでRPGのような楽しさでした! 暗渠巡りの面白さにハマりそうです」(柴田さん)
【プロフィール】
柴田阿弥(しばた・あや)/1993年生まれ、愛知県出身。SKE48メンバーとして活躍後、2016年にフリーアナウンサーに転身。ABEMA NEWSチャンネルの生放送番組『ABEMAヒルズ』(平日12時~月・火・金担当)などでキャスターを務める。
本田創(ほんだ・そう)/1972年生まれ、東京都出身。小学生時代に祖父から古い東京区分地図をもらったのをきっかけに暗渠の探索に目覚め、「暗渠者」として活動を続ける。著書に『東京暗渠学』、編著に『東京「暗渠」散歩』など。
撮影/小倉雄一郎 取材・文/上田千春
※週刊ポスト2022年4月22日号