4月10日のオリックス戦で史上16人目の完全試合を達成したロッテの佐々木朗希(20)。13連続三振の世界記録、19奪三振の日本タイ記録、20歳5か月という最年少記録……数々の勲章を同時に手にした佐々木に、かつてロッテの監督も務めた400勝投手の“カネやん”こと、故・金田正一さんを抜く可能性がある選手が出てきたと感嘆するOBは多い。
過去、完全試合を達成した15人の投手のひとりがカネやんだ。若いうちから活躍し、18歳で22勝を挙げて、その後は14年連続で20勝以上をマークした。ノーヒットノーラン(5四球)は18歳1か月で達成し、完全試合は24歳0か月。“打席に立てば三振、守ればエラー連発”と揶揄されていた国鉄での完全試合は評価が高い。一方、DH制で投手が打席に立たないパ・リーグで完全試合を達成した佐々木の快挙も遜色ない(DH制での完全試合達成は佐々木が2人目)。
果たして佐々木はカネやんを抜けるのか──。ロッテOBで愛弟子のひとりである村田兆治氏に、佐々木の凄さについて聞いた。佐々木は村田氏が持っていたロッテの球団記録である16奪三振も塗り替えている。
「凄いピッチャーが出て来たね。これで彼の素質が改めてわかったよね」(村田氏・以下同)
これだけの快挙を遂げても、まだ“素質”の段階ということか?
「そりゃそうだよ。これで記録に残る選手になったのは間違いないが、今度は本当のエースになるために1年間ローテーションを守って最低15勝はしないといけない。チームを引っ張って、ゲームの流れを変えられるようなピッチャーにならないといけない。これからは記憶に残る選手になることも意識しなければね。
過去に完全試合を達成したピッチャーは15人いるが、通算で200勝以上したのは藤本英雄さんとカネさんだけ。カネさんが凄いのは14年連続で20勝以上を続けていること。佐々木は下半身の課題を克服した。腕の可動域も大きく、安定した素晴らしいフォームだと思う。ただ、それをどうやって維持していくか。そのためにはしっかり睡眠をとって、体をケアしなければいけない。稲尾(和久)さんは14年間に304試合で先発している。時代が違うという単純な話ではなく、稲尾さんは体調を維持するために苦労したそうです。1年投げたら、次の1年と先を見据えた野球をしてもらいたい。それぐらい素質があるピッチャーだと思う」