芸能

放送作家・鈴木おさむ「『ピンチはチャンス』は無責任な言葉」

鈴木おさむ氏

鈴木おさむさんに「SNS時代」はどう映っているのか

 2002年、森三中の大島美幸さん(42才)と交際0日で結婚した放送作家の鈴木おさむさん(49才)。二人は二度の流産を経験、妊活を経て子供を授かった。息子の笑福(えふ)くんは今年で7才になる。自らの生き様を発信し続けてきた鈴木さんの目に、SNS時代はどう映っているのか。

 * * *
 妻は、2010年に二度目の流産を経験しました。そのときに「しばらくはお笑いの仕事に全力で打ち込む。やり尽くしたと思えたときがきたら、そのタイミングで妊活を始める」という方針を決めたんです。結果的に、2013年の『24時間テレビ』(日本テレビ系)のチャリティーマラソンと、映画『福福荘の福ちゃん』のお仕事を終えて、翌年、妊活休養に入ることにしました。

 僕も妻も、つらいこと、悲しいこともひっくるめて「自分の人生を全て笑ってもらおう、笑い飛ばそう」というスタンスで生きています。それもあって、「妊活に専念するため休養に入る」ということを、公式に発表したんです。流産のことも明かしました。そうしたら、賛否両論ものすごい数の反響がありまして。

「賛」は、もちろん“応援しています”“ゆっくり休んでください”という肯定的な意見でした。「否」のほうが、もう、すごくて。“何考えてるんだ”から、“子供ができなかったらどうするんだ”まで……でも、そんなことまで平気で書き込んでくる人がいたんですよ。

 SNSがこれだけ身近になったいま、生き様を表に出すことの困難さを感じています。否定的な書き込みを見たら、自分の生き方を否定されているように思ってしまう人も多いんじゃないかな。僕の場合、昔からやり続けていますし、メディア側の人間として“エンタメ”を提供しているという意識もあるから、なんとかやっていますけれど。

 そんな状況のなかにあって、『笑ってコラえて!』(日本テレビ系)で注目を集めた『ママがもうこの世界にいなくても』の著者・遠藤和(のどか)さん(享年24)は稀有な存在だと思いました。彼女は青森県出身、1997年生まれの一般の方です。2020年、ステージIVの大腸がんを抱えながら、娘さんを出産しました。

 和さんはインスタグラムを中心に、SNSの反応と向き合いながら生きていました。著書には、傷ついた過程も隠すことなく書いてあります。こんなに生々しい記録にはなかなか出会えない。僕は、彼女がこれほどまでに正直な言葉を残したことに感動しました。

 この記述が忘れられません。

〈インスタを見ていたら、「生きてるだけで丸儲けですね」とか「ただ生きてるだけでいいので頑張ってください」とか、そういうコメントに、すごく腹が立った。生きてるだけでいいわけないじゃん。何も食べられなくて、のどが渇いても水すら飲めなくて。身体中が痛くて苦しくて、息をするのもつらくて。ベットの上で起きてるんだか寝てるんだかわからないような状態でいて。それで丸儲けだって本気で思ってる?〉

 このコメントを書いた人は、和さんを傷つけるつもりはなかったと思うんです。でも、彼女は深く傷ついた。

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