コロナ禍が始まった2年前、在庫不足で高額取引されていたマスク。価格が落ち着いた現在、ネット上では“別の理由”で高価格のマスクが売買されている。
若い女性がSNS上で「使用済みマスク」の購入希望者を募集し、1枚500円程度で取引する事例が急増しているのだ。
都立高校に通う2年生の女子高生Aさん(17)はこう話す。
「学校がバイト禁止でお金に困っていた時、同級生の友だちに『そのマスク売れるの知ってる?』と誘われたんです。実際にツイッターでその日つけたマスクの画像に『#マスク売ります』と添えて投稿したところ、すぐに『1枚いくらですか』と返信が来た。『跡が残るよう化粧を濃くつけておいてほしい』というリクエストもあります。親には言わず、月に1万円くらい稼いでます」
取引には基本的にメルカリなどのフリマアプリを使用するという。
「マスクの画像を直接載せて売るのではなく、SNS上で買い手の人に『今から出品します』と確認を取ってから、ハンカチなどダミーの商品写真で出品し、匿名で配送する。顔写真は載せませんが、リクエストがある場合はマスクを手に持っている画像を送ります」(Aさん)
なかには、自分の子供の使用済みマスクを売る女性もいる。実際に小学校低学年の娘の使用済みマスクを売る専業主婦のBさん(34)が語る。
「『#JS』という女子小学生を示す隠語のハッシュタグを載せ、意味のわかる買い手さんだけに買ってもらいます。30代主婦の私のマスクはほとんど売れませんが、娘のものは声がかかる。娘には伝えていませんが、夫からは許可をとっています」
都内のあるブルセラショップ店員は、業界では主婦層の「回帰現象」がよく見られるという。
「学生時代に小遣い感覚でブルセラをしているとその金銭感覚が根付いてしまうのか、30代になってから再度下着を売りに来る女性は多い。子供の着用済み下着やマスクを売るのも、その感覚の延長線上だと思います」
未成年による着用済み下着等の売買行為は各都道府県の青少年育成条例で罰せられるが、マスクはまだその対象外。早期の対策が求められる。
※週刊ポスト2022年4月22日号