「沈黙以外のどんな方法でもいいから、われわれを支援してほしい」。ウクライナのゼレンスキー大統領が沈痛な面持ちで語りかけると、米ラスベガスの会場は静まり返った。4月3日、ゼレンスキー氏はグラミー賞授賞式にビデオメッセージを寄せ、支援を呼びかけた。中継したテレビ画面には、レディー・ガガやジャスティン・ビーバーといったスターが彼の言葉に聴き入る姿が映し出され、そして、ウクライナ支援の寄付の詳細が紹介された。
ロシアによるウクライナ侵攻は第2フェーズに移った。ロシア軍は首都キーウ(キエフ)占領をあきらめ、部隊を東部地域へ集中させている。これによりウクライナ軍はキーウを奪還したものの、被害はやむどころか日を追うごとに広がっているというのだ。
「ウクライナは世界最大級の食糧輸出国でしたが、農地や食料品メーカーの工場などが相次いで破壊され、生産も流通も完全にストップ。空爆や砲撃によってガスや電気といったインフラも遮断。ロシア軍の攻撃は今後も続くでしょうが、マイナス2℃の中、暖も取れず、食糧不足と水不足に悩まされ、医療へのアクセスも失ってしまった人たちが、餓死や病死するケースが後を絶ちません」(国際ジャーナリスト)
冒頭のようにゼレンスキー氏は、各国の国会だけでなく、音楽界の祭典にまで登場し支援を求めており、ウクライナの惨状は世界に知れ渡っている。
「支援が必要なのはウクライナに住む人たちだけではありません。約1000万人の避難民が、各国で衣食住を求めています。彼らを助けるには、多額の寄付金や支援物資が必要なのです」(前出・国際ジャーナリスト)
日本でも寄付の輪が広がり始めている。楽天の三木谷浩史会長兼社長(57才)は10億円の寄付を表明した。実業家の前澤友作氏(46才)も金額は明かさなかったもののそれに続き、X JAPANのYOSHIKIや紗栄子(35才)などもウクライナへの寄付を明かした。
徐々にだが、確実にその輪は広がり、特に多額の寄付金が集まっている在日ウクライナ大使館は専用口座を開設。4月1日までに50億円の支援があったという。寄付アドバイザーの河合将生さんが語る。