最年少で完全試合を達成したロッテ・佐々木朗希(20)。その佐々木をプロ入り後、これまで辛抱強く指導してきたのがロッテ・吉井理人ピッチングコーディネーターだ。日本ハムの投手コーチ時代にダルビッシュ有、大谷翔平を指導したことで知られ、今回の佐々木の台頭で“名投手コーチ”として評価が高まっている。吉井氏と共に現役時代に近鉄でプレーした野球評論家・金村義明氏は手腕を絶賛する。
「1年目の春季キャンプで佐々木のキャッチボールを見ましたが、スーッと糸を引いたような最後まで真っすぐ伸びるボールを投げていて。そんなボールを見たのは松坂大輔以来でしたが、松坂より凄かった。すぐに試合で使いたくなる球ですよ。当初は吉井も1年目の4~5月頃にデビューさせる予定だったようですが、キャンプ終盤に急遽、基礎体力作りに専念させる方針に変えた。その眼力ですよね」
吉井氏はメジャーの経験もあり、筑波大で野球のコーチング理論を学び、修士号を取得している。
吉井氏の評価について関係者が口を揃えるのが、自分の経験や理論を押し付けることなく、選手目線で適切なアドバイスができることだという。
「2年目の春季キャンプで腕を伸ばし、肘からトップに上げるようなフォームに変わっていた時は驚きの声があがりました。テイクバックを変えるなんてフォームを崩す一因になりかねないが、吉井さんは本人の意向を尊重した。技術的な見地から問題ないと判断したのでしょう」(スポーツ紙デスク)
選手に慕われている理由は最先端の野球理論だけではないという。
「普段は優しいが、信念の男です。監督とも平気でケンカもしますが納得すれば一生懸命働きます。ロッテの投手陣をみればわかりますが、しっかりとチーム防御率という形で結果を残していますからね。そういうコーチに選手も信頼を置く」(前出・金村氏)
「令和の怪物」の次なる偉業が楽しみだ。
※週刊ポスト2022年4月29日号