1990年代に珍しく取材を受けた当時の滝崎武光氏(写真/AFLO)

1990年代に珍しく取材を受けた当時の滝崎武光氏(写真/AFLO)

 キーエンス社員の間で語り継がれているエピソードがある。ある日、滝崎氏に営業社員から相談があった。「取引先から『お前の会社は儲けすぎだ』と言われるが、どう答えればいいか」。滝崎氏はこう答えたという。

「私は若い頃、オーディオが好きだったが、ソニーの製品を買おうと思っても店側は値引きしてくれない。他社製だと3割くらい値引きするのに。だからといって、ソニーの商品が売れないということはない。本当に高すぎるのなら売れないはず。つまり、なぜ客が、高すぎる、値引きしろと言うかというと、本当にその商品が欲しいからだ。だから、それは商品に対する“誉め言葉”として聞いていればいい」

 立石氏は、いかにも滝崎氏らしい返答だと語る。

「滝崎さんは理系人間なので、どんなことでも理詰めで考え、反論を事前に想定して、答えを用意している。それで反論してくる人を論破できたら、その考えは正しいとみんなに納得してもらえるわけです」

 値引きもしなければ、取引先に対する接待営業も一切禁止。理屈に合わないからだが、よほど自社製品に自信がなければ、できないことでもある。

※週刊ポスト2022年4月29日号

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