芸能

尾崎豊、没後30年 加藤登紀子が回顧「誰もが抱える孤独に寄り添っている」

死の前年の1991年5月20日、3年ぶりのライブツアーが横浜アリーナでスタート。同年12月、母が急逝し、尾崎は精神的に追いつめられていく。女優・斉藤由貴との不倫が発覚したのもこの年だった

死の前年の1991年5月20日、3年ぶりのライブツアーが横浜アリーナでスタート。同年12月、母が急逝し、尾崎は精神的に追いつめられていく。女優・斉藤由貴との不倫が発覚したのもこの年だった

 日本のロックシーンを代表するシンガーソングライター尾崎豊が26才の若さでこの世を去ったのは1992年4月25日のこと。それから30年経ってもなお、尾崎の作品は広く愛されている。名曲『I LOVE YOU』をカバーしたシンガーソングライター・加藤登紀子(78才)が尾崎を回顧する。

7mの高さから落下。衝撃の出会い

「私が初めて尾崎さんにお会いしたのは、1984年8月4日に日比谷野外音楽堂で開催された『アトミックカフェ・ミュージック・フェス’84』というコンサートでした」(加藤・以下同) 

 このときの尾崎は、デビューしてわずか9か月。青山学院高等部を自主退学し、音楽活動に集中しようというときだった。一方、加藤は41才。『知床旅情』などのヒット作を持つ人気歌手として忙しい日々を送っていた。

「当時は好景気で、都会的で洗練されたポップスが主流でした。そんな時代ですから、ストレートに生々しいメッセージをぶつけてくるアーティストがいなかったんですね。なので、尾崎さんの曲を聴いてびっくり。舞台袖まで見に行きました。

 彼の全身からは言葉が飛び出ているようで、その言葉が私の心になだれ込んでくるんです。“すごい人だな”と耳を傾けていたら、いきなり会場が騒然とし出したんです。何事かと思ったら、尾崎さんがライブ中に、7mの高さのイントレ(移動式の足場。このときは照明台だった)から飛び降りたんです。スタッフは“救急車!”と叫んでいるのに、尾崎さんは倒れながらも歌っている。ボーカルが倒れているのに、周りのバンドメンバーも曲を止めないし……。あれは衝撃的な光景でしたね」

 このライブで尾崎は左脚を骨折。事件は瞬く間に知れ渡り、“尾崎伝説”の1つとなる。そして、けがから復帰した直後の1985年3月にリリースした2枚目のアルバム『回帰線』は、オリコンで初登場1位を獲得した。

無垢な少年時代を終え苦悩していた

「尾崎さんは、無垢な少年の魂のまま、曲を作っていたんだと思います。『I LOVE YOU』『卒業』『シェリー』など、彼の代表曲はどれも、3枚目のアルバム『壊れた扉から』(1985年リリース)までに収録されています。これはつまり、10代のうちに、作り終えていたということ。

 尾崎さんのアーティストとしての出発は、大人に対するカウンターパワー(対抗する力)でした。しかし、20才になり自分が大人側に立ったときに、何を表現すべきか見えなくなってしまったんでしょう。これは非常に苦しいことだったと思います」

 それでも周囲は、彼に“10代のカリスマ”でいることを要求し続けていく。それに応えるため、その後の尾崎は苦しみもがく。

 そして、20才になったばかりの1986年、無期限活動休止を発表し、単身渡米。表舞台から姿を消した。

関連記事

トピックス

4月14日夜、さいたま市桜区のマンションで女子高校生の手柄玲奈さん(15)が刺殺された
「血だらけで逃げようとしたのか…」手柄玲奈さん(15)刺殺現場に残っていた“1キロ以上続く血痕”と住民が聞いた「この辺りで聞いたことのない声」【さいたま市・女子高生刺殺】
NEWSポストセブン
ファンから心配の声が相次ぐジャスティン・ビーバー(dpa/時事通信フォト)
《ハイ状態では…?》ジャスティン・ビーバー(31)が投稿した家を燃やすアニメ動画で騒然、激変ビジュアルや相次ぐ“奇行”に心配する声続出
NEWSポストセブン
NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」で初の朝ドラ出演を果たしたソニン(時事通信フォト)
《朝ドラ初出演のソニン(42)》「毎日涙と鼻血が…」裸エプロンCDジャケットと陵辱される女子高生役を経て再ブレイクを果たした“並々ならぬプロ意識”と“ハチキン根性”
NEWSポストセブン
山口組も大谷のプレーに関心を寄せているようだ(司組長の写真は時事通信)
〈山口組が大谷翔平を「日本人の誇り」と称賛〉機関紙で見せた司忍組長の「銀色着物姿」 83歳のお祝いに届いた大量の胡蝶蘭
NEWSポストセブン
20年ぶりの万博で”桜”のリンクコーデを披露された天皇皇后両陛下(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
皇后雅子さまが大阪・関西万博の開幕日にご登場 20年ぶりの万博で見せられた晴れやかな笑顔と”桜”のリンクコーデ
NEWSポストセブン
朝ドラ『あんぱん』に出演中の竹野内豊
【朝ドラ『あんぱん』でも好演】時代に合わせてアップデートする竹野内豊、癒しと信頼を感じさせ、好感度も信頼度もバツグン
女性セブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
《実兄が夜空の下で独白》騒動後に中居正広氏が送った“2言だけのメール文面”と、性暴力が認定された弟への“揺るぎない信頼”「趣味が合うんだよね、ヤンキーに憧れた世代だから」
NEWSポストセブン
高校時代の広末涼子。歌手デビューした年に紅白出場(1997年撮影)
《事故直前にヒロスエでーす》広末涼子さんに見られた“奇行”にフィフィが感じる「当時の“芸能界”という異常な環境」「世間から要請されたプレッシャー」
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下は秋篠宮ご夫妻とともに会場内を視察された(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
《藤原紀香が出迎え》皇后雅子さま、大阪・関西万博をご視察 “アクティブ”イメージのブルーグレーのパンツススーツ姿 
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
【独自】「弟がやったことだと思えない…」中居正広氏“最愛の実兄”が独白30分 中居氏が語っていた「僕はもう一回、2人の兄と両親の家族5人で住んでみたい」
NEWSポストセブン
『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト