世界一の富豪となったテスラ経営者のイーロン・マスク氏(50)は、このところ「ケンカ屋」として名を馳せている。Twitter買収を宣言し、すでにTOB(株式公開買い付け)のための6兆円もの資金の目途をつけたという。しかし、ケンカはこれに留まらない。近々、なんと法廷でハリウッド一稼ぐ男といわれるジョニー・デップ(58)と直接対決する可能性が高まっている。
舞台となるのはデップと元妻アンバー・ハード(35)が争う名誉棄損裁判だ。3年ぶりに米連邦巡回控訴裁(バージニア州フェアファックス郡)で公判が再開されたのだが、かつて取り沙汰されたハードとマスク氏の不倫疑惑がそこで再燃しそうな雲行きになっている。裁判の争点はデップがハードにDVをしていたかどうかなので、この話は枝葉と思われていたが、ここにきてDVがあったとされる時期にデップがすでに海外にいたという見方が出てきたからだ。
発端は二人が住んでいたマンションの管理人の証言で、なんと「ハードさんが顔や首にケガをしているのを目撃した時期には、マスク氏がハードさんと同棲していた」と語ったのである。これが事実なら、デップからDVを受けたというハードの主張は音を立てて崩れる。と同時に、加害者はデップではなくマスク氏という疑惑も持ち上がる。
デップはすかさずマスク氏に、「ケイジ・ファイト(金網デスマッチ)で白黒つけようじゃないか」と挑戦状を突きつけた。これにより公判でマスク氏が証人として証言を求められる可能性が高まっているのである。
それにしても、マスク氏は一生使いきれない巨万の富を手にしたにもかかわらず、ケンカの絶えない生活だ。Twitter買収劇では、同社が買収防衛策を導入したことに対抗し、「買収が成功すれば取締役会の報酬はゼロになる」とツイートして挑発。さらに、TOBが成功しなかった場合には大手投資会社アポロ・グローバル・マネジメント(運用資金約63兆円)に資金援助してTwitterを潰しにかかる代替案も検討中だ。
そもそもマスク氏はTwitterの厳しい投稿管理に根深い不満を持っていた。「私は特定の政党や政治理念に肩入れするつもりはない」としているが、同社がトランプ前大統領のアカウントを停止したことを批判。買収に成功すればトランプ氏のアカウントをただちに復活させると見られている。返す刀で、SNSなどの規制強化を進めるバイデン大統領に対しては、「濡れた靴下で作った指人形のような男」と名付けて、ついに国のトップにもケンカを売った。