日本ではワクチンの3回目接種をした人がおよそ5割に達しているが、昨年7月時点ですでに4回接種した人がいた。
北海道・弟子屈町に住む80代の男性A氏だ。医療機関に出入りする仕事をしているため、医療従事者枠で昨年4、5月に接種した後、病院から接種券を破棄するよう言われたが、無視して自治体の高齢者枠で6、7月に打ったという。毎月1回、4か月連続で接種したことになる。
この不正接種は全国紙にも報じられたが、昨年7月、A氏は『週刊ポスト』の取材に対し、「副反応は一切なかった。腕の痛みも発熱もない。早く5回目が打ちたい」と反省する素振りは見せなかった。その後、体調に変化はないのか。
「まったく問題ないですね。風邪もひかないし、もちろんコロナにもかかってない。最近も仕事先の医療機関で何人か陽性者が出たけど、私は陰性だった。まだワクチンの効果が残っていると感じますね」(A氏)
5回目は打ったのかと訊くと、こんな答えが。
「町のブラックリストに載ったのか、世間でいうところの3回目の接種券が届いていないんですよ。昨年11月に医療従事者向けの抗体検査を受けたら、他の人より10倍くらい抗体があったので、それも町は把握しているのかもしれません」
弟子屈町に聞いてみた。
「(北海)道と協議した結果、お送りしていません。接種は公費で賄っているため、既定の回数より多く接種したとなればそれだけ公費を余分に使っていることになります」(健康こども課)
政府は4回目接種への検討に入り、5月下旬の接種開始を目指しているという。A氏は「もちろん打ちたいです。新しい変異株も出てきていて怖いですから。最後に打ってから1年経っている時期なので、抗体も減ってきているだろうし」と、“次こそは”と期待を込めるが、自治体は厳しい判断を検討している。
「まだ決定していませんが、同様の理由で4回目に関しても接種券を送らない可能性があります」(前出・健康こども課)
接種は自己責任である。
※週刊ポスト2022年5月6・13日号