多感な時期の生徒たちはこの知らせをどのような気持ちで受け取ったのだろうか。今年3月、神奈川県川崎市の市立中学校に勤務する男性教諭A(38)と女性教諭B(34)が校内で性行為をしたとして、懲戒免職処分となった。
ともに既婚者の2人は、2019年6月頃から2021年8月頃まで、勤務時間中や放課後に中学校内で情事を繰り返した。川崎市教育委員会に情報が寄せられて2人の親密すぎる関係が発覚したが、確認された情事の回数は10数回にも及んだ。
A教諭は仕事熱心で、生徒や保護者からも頼られる人気教師だったという。同校に子供を通わせていた保護者はこう話す。
「A教諭は体育教師でクラスの担任を持っていました。運動部の顧問も務めていて、その部活を県大会に何度も出場させるなど、成果をあげていたと聞いています」
別の保護者はこう話す。
「長身で格好良いとお母さんからも評判でした」
一方、B教諭のほうは、「彼女も担任を持っていて、とても清楚な感じ。不倫をするような人には思えなかった」(同前)という。
「お互いに既婚者なので、帰宅時間について家族に不信感を持たれないよう校内で関係を持った」
わざわざ校内でコトに及んだ理由について、川崎市教育委員会からの聞き取りにA教諭はそう釈明した。学校や教え子にバレるより、家族にバレたくなかったということか。
処分から1か月、このA教諭の自宅を訪れた。インターホン越しに現在の心境を尋ねると、A教諭は「大丈夫です」という一言を絞り出してスイッチを切った。ちなみに妻との同居は続いているようだ。
だが、A教諭やB教諭は特殊な存在ではない。
近年、堅いイメージのある公務員が、「職場情事」に及ぶ事例が次々と発覚している。不倫カウンセラーの立花凛氏がその背景を次のように指摘する。
「公務員に限らず、不倫の相談件数がコロナ以降、2~3割増えています。コロナ禍で夫婦関係を含めてストレスが溜まっているのでしょう。かといって飲み会などは限られるため、自ずと職場での人間関係から不倫に発展するケースが目に付きます。
それに関連して、職場で行為に及んでしまったという相談も増えています。医師が当直の仮眠室で、弁護士が事務所のソファーでといった事例を実際に聞いています。
公務員の場合、コロナで外食なども厳しく制限されているため、なおさら職場でせざるを得なくなるのかもしれません。しかし、何度も繰り返すにあたっては、やはり倫理観が破壊されて嵌まっていく側面もあるのでしょう」