頭痛や腰痛、生理痛など女性には痛みに関する悩みや不調がつきものだ。痛みを和らげるうえで大きな助けになる鎮痛剤だが、場合によってはそれ以上の代償を伴うことを知っておきたい。ナビタスクリニック川崎の内科医・谷本哲也さんはいう。
「痛みは客観的に数値化できないため、薬のやめ時がわからず鎮痛剤をのみすぎた結果、副作用が出ることは少なくありません。代表的な症状は胃腸障害です」(谷本さん)
特に頭痛薬や解熱鎮痛剤に用いられる『NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)系』の鎮痛剤には注意が必要だ。
「ロキソプロフェンやインドメタシン、アスピリンなど多くの鎮痛剤がこのNSAIDs系に分類され、痛みの原因物質である『プロスタグランジン』を抑えることで痛みを和らげます。ところがプロスタグランジンには胃の粘膜を防御する働きもあるため、分泌を抑えられると胃が荒れてしまうことがある。1〜2週間程度服用を続けただけでも、胃潰瘍や胃穿孔になることがあります」(谷本さん)
銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘さんは、肩こりや腰痛の治療に用いられる『インドメタシン』が持つ血圧を上げる副作用の影響を懸念する。
「40〜50代の高血圧患者に多いのは、腰痛や肩の痛みを取るためにインドメタシンをのんでいたが、服用をやめたら血圧が正常値に戻ったケースです。この薬は血管を収縮させる副作用があるため、高血圧になる人が多いのです。しかしそれが薬のせいだと気がつかずに、健康診断で高血圧と診断され、降圧剤を服用する患者もいます」(長澤さん)