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石井一氏から林芳正外相へ「優等生の殻を破り角栄のように自主外交をせよ」

国土庁長官、自治大臣などを歴任した石井一氏(右)が林芳正外相に提言(時事通信フォト)

国土庁長官、自治大臣などを歴任した石井一氏(右)が林芳正外相に提言(時事通信フォト)

 国内外で問題山積の日本の政界。しかし岸田政権、そして現役政治家たちの足取りは重い。政界の先達として、国土庁長官、自治大臣などを歴任した石井一氏(87)が林芳正外相に向け提言する。

 * * *
 林芳正外相のことは、親父の林義郎が私と当選同期だった関係で彼が子供の頃から知っている。

 外務大臣に必要なのは、アメリカとの関係づくりと、霞が関の官僚との関係を良好にこなすこと。その点では満点に近い。

 政治的な勝負もできる。林と安倍元総理は父親同士が同じ中選挙区で争った間柄で、本人同士もライバル関係にある。そういう状況の中で林は安倍の反対を押し切って昨年の総選挙で衆議院に鞍替えした。岸田総理はそんな林の力量を認め、安倍から目を付けられることを承知で外務大臣に起用したのだ。外相として実績をあげれば、いずれ総理というポジションまで来ているといえる。

 だが、林が総理になるには、越えなければならない課題がある。これからの日本に必要なのは従来の対米追随、官僚迎合の外交ではなく、国益のための自主外交だ。しかし、自主外交をしようとすれば、ことごとく官僚と対立する。アメリカと逆の路線を進まねばならない場面も出てくるから当然軋轢が生じる。だから口では言えてもなかなか実行できない。唯一、やった政治家が我が師である田中角栄だった。

 田中は旧ソ連との交渉で、第二次大戦の時から残った未解決の諸問題に北方領土4島が含まれることをブレジネフに詰め寄り、『ダー』と認めさせた。そして旧ソ連以外にもフランス、カナダなどと独自の資源外交を繰り広げた。アメリカは反発し、官僚も反対した。それを乗り越えて田中は自主外交を展開した結果、アメリカの虎の尾を踏み、晩年はロッキード裁判で苦しむことになった。

 このように国益のための自主外交は壁が厚い。果たして林芳正にそれができるか。現状の林は優等生すぎる。外相としての得点は95点だが、残りの5点、自主外交ができているかという一番重要な部分に欠けている。総理を目指すなら、その覚悟を決めねばならない。

 自主外交の具体的な課題は2つある。

 1つは沖縄の米軍基地。完成が見通せない辺野古にこだわることは国益にもとる。普天間基地を嘉手納に移すのが最も合理的ですぐにできる。アメリカは一緒にはできないなどと言っているが、それをやれば普天間の問題は解消。基地の跡地を東洋一の海洋リゾートにすれば沖縄の経済復興にとどまらず、日本全体の経済が活性化する。田中角栄ならやっただろう。

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