国内老舗スポーツ用品メーカーであるアシックス(本社・神戸市)の新型カーボン入り厚底シューズが発表された。「METASPEED SKY+(メタスピードスカイプラス)」と「METASPEED EDGE+(メタスピードエッジプラス)」の2商品だ。発売は6月、現行モデルに比べクッションフォーム材を約4%増やしたりカーボンプレートの形状を変えたりするなどの機能性目的の改良が加わった。
ベストタイムを狙ったり最長距離に挑戦したりするなど“ランニングへの没入”を楽しむ人にとって厚底シューズの発売はモチベーションになることも多い。とくに、日本で長年履かれてきたアシックスの3年連続・第3弾の新作とあって注目度は抜群だが、ある厚底愛用派市民ランナーは首をかしげる。
「箱根(駅伝)や昨年12月の福岡国際(マラソン)でごく一部のトップ選手が履いたのは知っていたので、春前後の走りやすい時期に間に合うと思ったのですが、6月以降だとレースも少ない。4月24日のお披露目イベントは海外で行われ、観覧にいけないので仕方なくYouTubeで見ました。海外のほうが大きな市場なのはわかりますし、国内で作られているシューズなんか存在しないとはわかっていても、ちょっともやもやしますね」
年末年始に箱根ランナーや実業団選手が履いたのは、World Athletics(通称・世界陸連)に昨秋に開発中登録された「METASPEED Sky2」で、今回の「+」とは若干名前が違うが、「公表されていませんが実は色違いの同じもの。あの時すでに『+』が完成していた」(ランニングシューズに詳しいジャーナリスト)のである。
今回は発表に合わせ、エイリッシュ・マッコルガン選手(31。英国)ら海外のアシックスの契約選手が新型を履いて記録を目指すイベントがスペインで開かれた。シューズのPRなどを担ってもらうことで選手に最新モデルの提供と報酬を支払うが「契約は超トップ選手で1000万~2000万円が相場」(スポーツイベントに詳しいジャーナリスト)で、そうした契約を利用したお披露目イベントを国内で行うことも、同社に不可能とは思えない。