国内

久間章生氏から岸信夫氏へ「安全保障の危機に、防衛大臣としての使命を果たせ」

初代防衛大臣を務めた久間章生氏(右)が岸信夫防衛相に提言(写真/共同通信社、時事通信フォト)

初代防衛大臣を務めた久間章生氏(右)が岸信夫防衛相に提言(写真/共同通信社、時事通信フォト)

 国内外で問題山積の日本の政界。しかし岸田政権や現役政治家たちの足取りは重い。政界の先達として、初代防衛大臣を務めた久間章生氏(81)が岸信夫防衛相に提言する。

 * * *
 政治家であれば自分の意見をもち、それを国民に問いかけるのが仕事です。意見があるのに、それを言わないのだとすれば、政治家として取るべき言行を取っていないということになります。

 しかし、今の大臣たちは自分の意見を出さない。マスコミに叩かれることが多いので、みんな安全運転であたりさわりのないことを淡々と発言するばかりで、言いたいことを言っていない印象です。もちろん、発言が問題視されるかもしれない。だったらその責任を取るのも政治家の仕事です。堂々と責任を取ればよいのです。そうした覚悟を持って、発言をしてほしい。

 とくにウクライナ危機にあって岸信夫・防衛大臣が自分の意見を述べたことは私の知る限りない。安全保障担当だから発言を慎重にしようとしているのかもしれないが、やはり大臣であれば、自身の信じるところをはっきり述べるべきだろう。私自身、防衛大臣を務めたからこそそう考える。

 現在、ロシアのウクライナ軍事侵攻で西側諸国はウクライナを支持・支援し、日本も足並みを揃えている。こういう状況下で防衛大臣はどう振る舞うべきか。

 事はロシアとウクライナの問題であり、日本は当事国ではありません。だから防衛大臣はロシアがどうであるとか、ウクライナがどうであると他国については意見を言うべきではない。

 防衛大臣がこうした安全保障の危機にあって向き合い、発信しなければならないのは日本の国民に対してです。国民は自国が同様の状況に置かれたら、どうなるだろうという不安を持っている。だからこそ防衛大臣には、日本の安全保障がどうなっているかを国民に説明する責任がある。

 まず、防衛大臣自身、改めて防衛体制を確認する。日本がウクライナのような立場になったらどうなるのかをシミュレーションして、予想される事態を確認します。その上で、安心なのであればそのことを国民に知らせる。不備があるのであればその不備を埋める指示を出す。これが防衛大臣の使命です。

 しかし、岸防衛大臣がそういうことをやっているのかは見えません。頭を巡らせているのかさえ見えないし、国民を安心させるような情報発信もない。そうした言動を、防衛大臣には求めたいと思います。

【プロフィール】
久間章生(きゅうま・ふみお)/1940年生まれ。防衛庁長官を2度務め、初代防衛大臣に就任。国際平和戦略研究所会長。

※週刊ポスト2022年5月6・13日号

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン