ライフ

精神科医・和田秀樹氏 健康寿命の“80歳の壁”を越えるには「我慢してはいけない」

精神科医・和田秀樹氏(写真/共同通信社)

精神科医・和田秀樹氏(写真/共同通信社)

 長い人生を光り輝かせるための必須条件が「健康」だろう。「80歳」以降は意識を変えることが重要だと説くのは、ベストセラー『80歳の壁』(幻冬舎新書)の著者・和田秀樹氏である。

 * * *
 高齢者専門の精神科医として35年間、臨床の現場で過ごし、診療した患者は6000人を超える。介護の現場や講演会などで出会った方を含めると、1万人以上の高齢患者と接してきた。

 そうしたなかで感じるのが「80歳の壁」だ。

 80歳からの人生は70代までとはまるで違う。昨日までできたことが急にできなくなる。そんな現象が当たり前になる。

 実際、日常生活を制限されることなく健康に過ごせる「健康寿命」は男性で72.68歳、女性は75.38歳だ。80歳を超えると心身が急激に衰えて、がん、脳梗塞、心筋梗塞など、命に関わる病気も発症しやすくなる。

 認知症を患う人は60代だと1~2%だが、70代前半で3~4%になり、80代前半では一気に20%に増加。80代の後半では40%の人が認知症を患う。

 こうした現実を踏まえ、80歳を過ぎても健やかに生活できる人を私は「幸齢者」と呼びたい。

 幸齢者になるには、いくつかの条件があると思う。ベースとなる考え方は「老いを受け入れる」こと、そして「できることを楽しむ」ことだ。

 歳をとればその分、心身の機能が衰える。筋力は低下し、関節は痛む。できないことが増えるのは当たり前だ。それを嘆くのではなく、残っている機能を楽しみながら伸ばす生活を心がけたい。歩けるのなら、毎日の散歩を楽しむ。私も糖尿病を持っているが、インスリンは使わず、歩くことで血糖値を下げている。

 また、歳だからと真っ先に免許返納を考えるより、更新時の検査をパスできるのであれば続けることを考えていい。運転を止め、行動範囲を自ら狭めることは、認知症への入り口を広げかねない。

 セクハラなどは言語道断だが、性的な関心が残っているならそれを否定する必要はない。そうした分野のDVDなどを楽しむのもいい。男性ホルモンの分泌を促し、若さを保つことにもつながる。

 老いを嘆くのではなく楽しむ。つまり「我慢しない生活」が大切になる。

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン