人間の体には、1000種類以上の菌が存在しているという。それらの菌は一般的に、ビフィズス菌などの人体に有益な働きをする「善玉菌」、健康を害するO-157などの「悪玉菌」、そしてその時々によっていい働きも悪い働きもする「日和見菌」に分類できる。
善玉、悪玉、日和見に限らず、より多くの種類の菌がバランスよく、数多く存在するように、体の環境を整えることを「菌活」という。常在菌の状態がよくなれば、便秘解消やダイエット効果だけでなく、睡眠の改善、免疫力アップ、美肌・美髪効果、アンチエイジング……と、全身にさまざまなメリットが期待できるという。
“菌活”のために菌を体に取り入れるには、ヨーグルトなどの発酵食品を食べるのが有効だ。だが、やみくもに食べ続けていても、効果は期待できない。腸活専門看護師の小野咲さんは、自分に合った菌を探すことが先決だと話す。
「例えば乳酸菌。現在、乳酸菌は250種類以上も見つかっており、どの乳酸菌が体に合うかは、人それぞれ異なります。ヨーグルトなら、2週間同じものを食べ続けてみて、便通や体調がよくなれば、自分に合っているといえます。ただし、ずっと同じ商品ばかりを食べてもあまり意味がありません。2週間ずつ、いろいろな種類のヨーグルトを食べることをおすすめします」(小野さん・以下同)
ヨーグルトといえば、よく「生きたまま腸に届く乳酸菌」というキャッチフレーズのついた商品を見かける。だが、「死んだ乳酸菌は無意味」というわけではない。
「乳酸菌の死骸は腸内細菌のえさになるので、ムダになることはありません。そもそも、こうしたキャッチフレーズがついていても、菌は腸に届く前にほとんどが胃酸で死んでしまうでしょう。本当に生きたままの乳酸菌を摂りたいなら、食後にヨーグルトを食べれば、胃酸が弱まっているので、菌が死滅しにくくなります」
菌ケア専門家でKINS代表の下川穣さんは、ぬか漬け、納豆、みそ汁のうちのどれか1つを毎日食べるようすすめる。
「ぬか漬けは乳酸菌だけでなく、腸内を酸性に保つ働きがある酪酸菌も摂ることができる。納豆菌は熱に強く、黒豆納豆なら、腸内細菌のえさになるポリフェノールも豊富です。みそはさまざまな菌をバランスよく取り入れられるうえに、みそ汁の具になる海藻類や魚、玉ねぎなどは、菌のえさになるものが多い。どんな人も毎日必ず食べてほしい」(下川さん)